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DIY、偽装工作に走る
第二回プレオープン その07
しおりを挟む偽装都市 地下『牢獄』
何者かに操られ、一騒動起こした休人二人の対処──それは『牢獄』へ送ること。
エクリが上手く演出を行い、まるで転移したかのように周囲へ見せて飛ばした。
「さて、収容完了っと……ご苦労だったな、エクリ」
「お褒めいただき光栄です」
「一先ずはパトロールを。巡回していれば、さっきの出来事について聞いてくる連中が出てくるだろう。想定通りの返答を、想定外のものがあったら『SEBAS』に連絡して返答してくれ」
「はい、畏まりました」
指令室から『牢獄』までは直通で行ける。
それはこういった事態を想定してのこと、収監した連中にあることをするためだ。
都市の地下に広がるそこは、迷宮として組み込んだ小世界。
物理的に接続されていないからこそ、関係者以外の出入りは非常に難しい。
「迷宮の権限、そして『プログレス』の管理者権限で──無力化実行だ」
迷宮で設定可能な攻撃禁止の環境。
非常にコストが掛かるのだが、地上に展開された抑制の魔法陣と組み合わせることで上手い具合に抑え込める。
この迷宮に展開されているのは、身力を吸い取る吸収フィールド。
ただでさえ火力を出せない状態で、発揮する力の動力源すら奪われる。
そんなこんなで、休人たちは何もできない状態に陥った。
これからここに収監される問題児たちも、こうして身動きが取れなくする予定だ。
「まあ、できるならできるでそのやり方を解析させてもらうけどさ」
創作物の定番、力を抑制されても主人公だけはどうにかできるアレ。
実際、吸収を上回る速度で力を制御し、抑制以上の出力を出せばやれなくもない。
理論上は可能でも、実際にできないことは多い──少なくとも平時の俺には不可能だ。
そういったこともあり、逆にやれるものならやってみてほしい。
「力を発揮できた程度で脱出できると思えるなら、おめでたい話だけどな」
ともあれ、力を抑制された休人たちにできることはせいぜい起き上がって座ること。
それすらもしない彼らに俺は近づき、チョロチョロと水を垂らしていく。
だが、しばらくしても目を覚まさない。
休人である彼らには、緊急[ログアウト]やら精神隔離機構(精神系状態異常時)などがあるので起きない事情は様々だ。
「アバターの中身が居ない以上、聞き出すことはできないけど…………割り出すことは、今の状態でもできるからな」
たとえ彼らを動かすのが中の人でも、実際に行動しているのはアバターだ。
だからこそ、できることはある──俺は彼らに埋め込まれた宝石に目を付けた。
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