虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、偽装工作に走る

第二回プレオープン その06

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 エクリが必殺技を発動。
 そちらに意識を向けていた休人たちを、死角から小さな球体が撃ち抜いた。

「お見事、さすがはエクリだな」

 やったことは単純、“千変宝珠”でこっそり飛ばした闇属性の魔力を当てるだけ。
 必殺技の操作、対人戦を行いつつ緻密な狙撃まで成功させるのだから凄い。

『いえ、『SEBAS』様の補助があってこそです』

 それを言うなら、常時『SEBAS』の恩恵にあやかっている俺って……。
 まあ、元より『SEBAS』が居なければどうにもならないのだ、仕方あるまい。

「しかし、厄介な相手だな……結果は?」

《はい、どうやら精神干渉を受けていたようです。ただし、時差式の発動となっており、それ以前の感知は極めて困難となっていたようです》

「時限爆弾みたいなものか。で、その使い手はどうなんだ?」

《精神干渉自体は『プログレス』によるものではなく、また参加者の中に該当する『プログレス』の持ち主は居りませんでした》

 何者かが参加者に細工し、アイスプルに来た辺りで暴走するように能力を施した。
 だがその使い手は参加者には居ない……問題がややこしくなってきている。

「タクマには情報が漏れないよう、厳重に注意してもらうよう厳命したはず。契約もあるはずだが、それでも漏れた……やはり侮れないな、ジンリは」

 奴の協力者は多い、それこそ無意識であろうとも。
 たとえ自覚して無くとも、ジンリが動かせる手駒は多い……ネトゲ時代に言っていた。

「『重要なのは、その行動を当たり前だと思わせること』、だっけか? 精神操作の仕掛けは無自覚かもしれないが、アイスプルに関する情報を漏らしたのは無自覚かもな」

《すぐに[掲示板]を──》

「そっちじゃないと思うぞ。アイツは使える物は何でも使うヤツだし、たぶん普通のスレか[メニュー]由来じゃない能力なんかかもしれない。協力者が、タクマと同等以上に情報を持つヤツが居ると思われているはずだ」

 すでに一度は接敵しているし、間接的に何度も戦闘を行っている。
 俺が虚弱なのは丸分かりだし、そのうえで今までやってきたことから分かることだ。 

「分かる範囲でいい、とりあえず洗いざらい確認だ。ほぼ100%ジンリだろうが、そうじゃない可能性を調べてくれ」

《畏まりました》

「エクリ、彼らをデスペナに。アレを使うから『牢獄』へ送ってくれ」

『了解しました』

 俺の発言を受けた直後、エクリは彼らを闇で包み込み──殺す。
 ただし、周囲で見ている休人たちには見えないようデスペナ演出ごと呑み込んだ。

 代わりに偽装工作として、無意味な魔法陣が足元に展開される。
 まるでそれを使ったと錯覚させ、エクリもまた闇によってその場から消えるのだった。

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