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DIY、偽装工作に走る
第二回プレオープン その05
しおりを挟む──“天淵黒亡”。
それは『黒淵穴亡[エクリエンド]』の能力を踏襲し、今のエクリにアジャストした形で発現された必殺技のようなもの。
「おおっ、やっぱり演出がいいな」
同時にそれは、俺の理想をも体現しているのかもしれない。
そう思えるほど、俺の趣味にドハマりする現象が起きていた。
元より環境を操作し、昏くしていた一画。
そこにエクリが現れ、影を操ることでさらに黒くなっていた。
だが“天淵黒亡”が発動された直後、そこは昏くも明るい場所と化している。
空で燦然と輝くは日輪──暗く黒く、禍々しいそれはまさに暗黒の太陽だった。
「まあ、使ったらこうなるか……って、なかなかやるな」
俺の予想としては、これを発動した時点でエクリの勝ちだと思っていたのだが──彼らは瞬時に屋根の上に乗り、これから起き得る事象に備えたのだ。
上位の休人ともなると、直感とか勘の良さがあるのかもしれない。
彼らは街路に立つエクリを睨み、一時共闘でもしたのか互いを攻撃せず動き始める。
「…………『SEBAS』、どうだ?」
《現状では確認できません。ですが、彼らの行動には些か疑念がございますね》
「一先ず、アイスプルに来てからの[ログ]は洗っておいてくれ。あと、来る予定だった休人の情報もだ」
《畏まりました》
俺と『SEBAS』が管理者である以上、特に『プログレス』は隠すことがほぼ不可能に近い。
星ならば偽装工作も可能かもしれないが、今回の黒幕になり得るジンリにそこまでの権利は無い……つまり、証拠を割り出せる。
「エクリ、無理そうだからやってくれ」
『──畏まりました』
展開された黒い太陽、それ自体に攻撃力はあってないようなものだ。
しかし太陽が展開されている場所、そのすべてが致死領域と化している。
太陽が照らすもの、そこに生じる陰。
そこで攻撃を受けた時、防御無視のダメージが発生するのだ。
彼らが屋根に上がったのは、そんな陰が無い場所へ逃げ延びるため。
だが、影はどこまでも追いかける──エクリは影を纏い、彼らを狙う。
「エクリ自身は闇属性を強制的に弱点化させる分、防御無視とプラスで弱点属性として攻撃ができる。加えて、学習させた武術でクリティカルダメージも見込めるし、生前より強くなるかもな」
ただ無軌道に力を振るっていた固有種の頃より、工夫が行える今の方が強いだろう。
武を交えて攻撃を行うエクリに、休人たちは回避を選ぶことしかできない。
だが、エクリにできることはそれだけではない──どこからともなく現れた小さな球体が、不意打ちで休人たちを撃ち抜いた。
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