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DIY、偽装工作に走る
第二回プレオープン その04
しおりを挟むどうやら初めての揉め事が起きたらしい。
人形たち、そして『SEBAS』の連絡網からその報告を受けた俺は、さっそくその対処を始めることに。
「さて、モニターは……ここだな」
都市にはいくつか、監視カメラのような物が設置されている。
大半はまんま機械式、そして一部魔力関係の仕掛け付きのカメラ擬きだ。
先ほど連絡を受けた場所、その付近に設置されたカメラにアクセス。
俺の居る場所──指令室で、現場の映像を確認してみる。
「うわぁ……壊れてるな。まあ、修復自体はすぐにできるけどさ」
都市の中で戦闘行為は行えない。
それは法的な拘束力だけでなく、都市規模で展開されている魔法陣が一定規模以上の攻撃魔法を抑制しているからだ。
例外は[PvP]の展開など、その術式を阻害できるナニカを使うこと。
──そしてシンプルに、レベルを上げて物理で殴ることで破壊行為が可能だ。
「タクマが選んだだけあって、それなりに強い連中だったってことか……身体強化、それに『プログレス』の強化でやったわけだ」
ロマン武器云々で取り合いが起こったことで分かると思うが、現場は武器屋である。
共に戦闘職だった彼らは、周囲の抑えも振り払い戦闘を始めたようだ。
いろいろと疑問はあるが、それを調べるのは今では無い。
重要なのは街を壊すレベルで暴れているということ──それを防ぐ準備もしてある。
「まずは人形が足止め。警備兵、という形にしてあるんだが……無理そうだな」
それっぽい制服を着こむ人形たちが、戦いに介入し鎮圧を図る──だが二人は人形に強い攻撃を行い、彼らを尽く破壊していく。
……いちおうレベル200──普通の原人の中でも最高峰──に対応できるぐらいに、整備はしてあったんだがな。
「さすがは休人、その中でもジンリの恩恵無しでもやっていける連中ってわけか……それじゃあ、お手並み拝見といきますか」
そんな彼らの無双を終わらせるべく、現れたのは一体の人形。
これまでの人形よりも華美な衣装を身に纏い、さながら隊長格という風格を放つ。
『──“万闇統一”』
周囲を覆う黒い影。
すでに光が消えたその一画において、その現象は凄まじい強さを発揮する。
隊長格──エクリが振るったその影は、瞬時に休人たちを拘束。
しかし彼らも何らかの能力を発動、影を引き千切りエクリへ攻撃を行う。
「向こうも向こうで、かなり強いからな……見せしめに使うか。あーあー、エクリ。アレで周囲に知らしめてくれ。ここで問題を起こす、その意味を」
『畏まりました──“天淵黒亡”』
それはエクリの基となった固有種──『黒淵穴亡[エクリエンド]』、彼の個体を踏襲した能力……闇が、黒がやって来る。
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