虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,135 / 2,834
DIY、偽装工作に走る

第二回プレオープン その01

しおりを挟む


 タクマに依頼をした。
 休人の中でも、アイスプルの偽装都市に招いて問題の無い連中を呼ぶようにと。

 重要なのは、それがジンリとの関係性が無いあるいは薄い休人という点。
 手広く支配者としての威を広めている彼なので、その候補はかなり少ないらしい。

「そんなこんなで、まさかの三日と……それだけ探すのに苦労したんだな」

 一定人数に達しなければ、連絡しなくてよいとは伝えていた。
 だが三日とは……どうやら俺は、ジンリの影響力を舐めていたらしい。

「タクマの方でチェックしてくれているだろうし、ジンリの手の者かはあんまり気にしなくてもいいか……というか、絶対に漏らさないわけでもないだろうし、それを考慮したうえでやっていくしかないよな」

 ある休人が陥った話だ(byタクマ)。
 かなりやり込んだ果てに辿り着いた難関で悩み、[掲示板]に情報を出……そうとしたときに警告が出たらしい。

 報酬の減少やら友好度の低下だの、漏らした時点で発生するんだとか。
 その情報を基に検証班が動いたところ、ほぼすべての事柄にそれらはあったらしい。

 まあ、秘密にしてほしい内容をあっさり外部に漏らすヤツを、信用できるのかって話だな……要するに、EHOは情報の洩れを考慮したうえで世界観を構築しているわけだ。

 そうでもなければ、わざわざペナルティなど設ける必要が無い。
 逆に言えば、それ以上のメリットを提示されれば情報などあっさりと漏れ出ていく。

 例外はそういった職業──情報関係の職業に就いている者のみ。
 しっかりと管理し、正当な対価を支払い受け取るとペナルティが発生しないらしい。

「…………だからこそ、無理なんだよな。でもまあ、それを見越したうえで偽装大陸なんて用意したわけだし。せいぜい、箱庭の中で楽しんでもらいますか」

 スケールのデカいことほど、人は知り得たことのみがすべてだと錯覚する。
 誰が大陸を本来の世界を隠すためだけに作りました、と言って信じるのやら。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 イベント世界 闘技島

 招いた休人の数は100人ほど。
 多くて俺一人では統制が取れないのは面倒だが、まあその辺は対策済みだ。

 集合場所は全世界から来れるよう、いちおうイベント世界にしてある。
 結果、さまざまな世界から休人たちが集合していた。

「──はい、規定時間となりました。中には欠席された方が居りますが、お時間となりましたので移動を開始します」

 何人かは参加できなかったが、現実やこちら側で何か問題があったのだと切り捨てる。
 ……あるいは、誰かが親切心で排除してくれたのかもしれないな。

 前回同様、転移門は使わない。
 ただし『騎士王』が居ないため、今回は俺が代わりに転移を発動させる。

 やり方は簡単、『グランドマロット』を一時的に使うだけ。
 大規模転移を発動し特定座標を指定、それが勝手に書き換わりアイスプルへ転移する。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...