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DIY、偽装工作に走る
第一回プレオープン その02
しおりを挟む冒険世界最高の存在、『騎士王』をアイスプルへ招くことに。
さまざまな目的もあって、彼女はそれを受け入れた。
「──と、そういうことになりました」
【分かりました。どうか、我らが王をよろしくお願いします】
「ええ、それはもちろんですよ。ガウェイン卿、何かございましたらご連絡を。すぐにでもそちらへ送還しま──」
【……、………………!】
俺はそんな『騎士王』の外出予定を、関係者へ伝えていたのだが──突然走るノイズ。
まさかと思い後ろを向くと……あからさまに下手な口笛を吹く『騎士王』の姿が。
「……おい」
「仕方あるまい。どうやらここ、『生者』周辺ではブリタンニアとの連絡や転移ができないナニカが生まれているようだ……いやー、これでは何も伝えることができまいなー」
「ハァ……まあいいか、じゃあ行きますか」
「あっ、いや少し待ってほしい。そろそろ来ると思う」
少なくとも、俺に『騎士王』以外を招くつもりはまったく無かった。
理由は至ってシンプル、人数が多ければ多いほど面倒なことになりかねないから。
だがそんな俺の思惑とは裏腹に、ほんの数分目を逸らした隙に『騎士王』はやらかす。
──転移の反応、俺と『騎士王』の前に現れる人影。
「と、いうことだ──『闘仙』、『白氷』、旧現『錬金王』、『剣矢』、『学者』を同行させてもらおう」
「…………本当に急ですね」
「事情は連絡済みだ。向こうでの違反行為があれば、私も対処してやろう」
「本当ですからね? 何かありましたら、その責任はすべて、何から何まで『騎士王』様の責任とさせていただきますよ」
問題児ばかりの『超越者』を呼んだのだ、こちらとて面倒事は避けたいのである。
なのでその責任については、呼んだ本人が負って当然だ。
何か言いたそうではあったが、そこは無視してさっそく準備を行う。
本来であれば、この街の中心にある転移門で渡るのが普通だが……訳アリだしな。
「申し訳ありませんが、諸々の都合上通常の方法での渡航ができません。なので、皆様にはこちらを使っていただきます」
全員が『プログレス』を着用していたのは都合が良かった。
俺から彼らへあるデータを送信し、その説明を行う。
「今送ったものは、特定の座標へ向けて転移することで強制的にその座標を書き換え、異なる場所へ飛ぶようにするプログラムです。目的地はアイスプル、ご説明した私の住まう星となっております」
「ふむ、『プログレス』を身に着けていなければ辿り着けないわけだな」
「仰る通りです。それでは『騎士王』様、私たちを指定した座標へ転移させてください」
星間の転移なので、まず普通にやっても魔力が足りずに飛べない。
飛べたところで、随時更新される指定座標へピッタリ飛べなければ失敗に終わる。
いろいろと対策はしてあるのだ。
……それを余裕で突破しそうな存在によって、アイスプルへと転移するのだった。
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