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DIY、偽装工作に走る

離島計画 前篇

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 過保護な風兎は説き伏せられ、妥協の結果受け入れられることになった偽装大陸。
 とりあえず、住民の中でも人化できる魔物たちには手伝ってもらうことに。

「──さて、ここでいいかな?」

《ここは『N50』。周囲には何も存在せず、ただ海のみが広がっておりますね》

「自動モードで海は広げていたからな。お陰で海産物もいろいろと採れるようになっているし、地域ごとの変化とかもいろいろ試していたんだんだが……しょうがない、この辺は諦めるとしますか」

 海以外に何も存在しない場所、しかし海の中にはあらゆる可能性が存在する。
 魔力が存在し、魔物が居る世界で俺は──海産物の養殖(?)を行っていた。

 自然という天然でやっているので天然物かもしれないが、その辺はどうでもいい。
 今回重要なのは、膨大な区画を使っていたその実験場を再利用するということだ。

「昔は科学的にいろいろとやってはみたが、今回はな──“統星掌握”」

 それは【救星者】の職業スキル、自身の職業に手を付ける“職業系統樹”と異なりアイスプルの管理者として相応しい初期能力。

 効果はシンプル、星の現状から過去、そして未来を把握できる。
 なお、あくまで『星の』なので生物が干渉した場合などは別だ。

 要はシミュレーターとしても利用可能で、今回はその機能を使用。
 何も無いこの海に島を作り上げ、不自然ではない形で維持する──という想定を行う。

「…………高い」

《すべてをSPで賄うのであれば、創造から環境調整といった行為に相応のポイントを消費することになります》

「だよな……“時貨専金”」

 SPの無駄遣いは避けたいので、星の改革に使えるもう一つの手段──【大富豪】の職業スキルを発動する。

 算出されていたSPの消費値が、異なる数値に書き換わっていく。
 それは金額、最後にこの世界の単位で表示される膨大な桁数の数字だ。

「──うん、これならイケるな」

 先ほどまでの悩みはどこへ行ったのやら。
 気分よく押せるようになったボタンをタップした瞬間、星が激しく胎動する。

「ほんと、金だけならいくらでも……現実で言いたく…………はならないな、うん。だからルリ、頼むから気づかないでくれ」

《旦那様、問題ありません》

「……ふぅー。言霊って怖いからな、ガチで起きかねんよ。まあともあれ、だんだん形になってきたな」

 ルリに掛かれば、それこそ一本の藁で巨万の富ぐらい得られるだろう。
 そうでなくとも、投資をするだけで一生困らなくなるに違いない。

 なんてことを話している間に、海中から何も無い大地が出現する。
 先ほどまで青一色だったはずの世界が、今度は文字通りの土色に切り替わっていた。

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