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DIY、捌いて裁く
懇神会後 中篇
しおりを挟む懇神会のお土産は、北欧神話の叡智に質問できる権利でした。
使い方は考えてみるとして、すぐに使わないということに。
「ああいう会で加護が貰えるかも、と少しだけ期待していた自分が居るな。でもまあ、そういうことなら直談判をして迷惑を掛けていたか……渡したいものがあるって言っていたフリシア様も、だから渡さなかったのかな」
懇神会において、その場で祝福を授けることは禁止されていた。
そのため、直接神々に祝福を要求することはなく、しようとしても無視されるだけ。
むしろ印象が最悪になる以上、効果の高い祝福など見込めない。
……まあ、一部の者は神練を求めるという裏技を使っていたけど。
やるのもやらないのも神様次第、ただ英霊は発言のチャンスを活かしたに過ぎない。
神練は文字通り神の試練、挑んだところで楽々クリアなど不可能だろうしな。
「そういえば、犯人について何も聞かされなかったな……英霊は犯行を認めたけど、その裏側には誰も居ない、私怨だって言い張っていたようだけど」
俺が[クノッソス]と戦闘中、一部の英霊たちが事の発端を吐いていた。
本人たちの主張は、ポッと出の俺や失名神話に対する怨恨。
しかしながら態度がどうとか自分たちの神様への対応が腹に立っただの、明らかに違和感を感じるような主張ばかり。
その場に居合わせた拷問の神様がいろいろと確認していたようだが、それでもそれ以外の情報は吐かなかったようだ。
「本人たちの意思とは別に、他言無用という制約でも刻み込んだのか? 神様ならそういうの、可能だよな?」
《はい。ですがそれは、職業能力や高位の魔道具などでも可能でしょう。星具、それに神代魔道具などでも》
「選択肢が多過ぎると……なるほど、それで解決しなかったわけか」
あの場に居た何者かの手引き、ということだけに収まらない。
外部の犯人となれば、それが神に関係する存在でもない可能性が生まれてしまう。
まあ、失名神話の存在は俺が広め始めた以上、それそのもので具体的に創造神様たちを狙うような真似はできないだろうが……俺の行動が軽率だったのもあるな。
「責任は全部俺が……なんて言ったら怒られそうだし、一先ず仮説については手紙を介して届けておこう。他の宗教、他の世界、それに本人たちの言う通り私怨だった可能性も有る……他人の、だけど」
《旦那様、それは──》
「無いわけじゃない。ルリやショウ、マイたちだってもう神話や伝説に関わりつつある。なら他の休人だって、同じ状態にあってもおかしくは無いだろう」
ワールドクエストとグランドクエスト、メインストーリーと呼ばれる二つの目的。
そのうちのワールドクエストにおいて、すでに神々が出張りつつあるらしい。
神代魔道具、神々の時代の産物。
それが現存している時点で、まあ神様が関係しているのは当然だろうが……正直面倒でしかないな。
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