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DIY、冒険の地に向かう
交渉 後篇
しおりを挟む「世界間……戦争ですか?」
なに、その不安しか湧いてこないおそろしい単語は……。
というか、どうして俺のポーションでそんなことになるんだ?
「うん、まずはこのポーション。これが異常なほど品質が高い」
「そうなんですか?」
「そうなんですよ、これが。ぼくのこっちのポーションが1だとすると……君のはだいたいその20倍ぐらいは高性能だよ」
「……それって、どれくらいなんですか?」
俺のその発言に、唖然とするギルド長。
いや、何倍とか言われても分からないし。
試飲しても、どうせ回復することも無いだろうよ。
「ハァ……。ぼくのポーションが精々手首から先を生やすのが精一杯だとして、君のポーションなら死者を蘇生できるよ」
「…………え゛っ!? そ、蘇生、ですか?」
「それでね。ぼくの方は、国に頼まれて素材が用意されるような特別な時じゃないと作れないポーションなんだけど……君のは、違うよね?」
「ん? あっ、うん。……まあ、はい」
その気になれば、今すぐにでもご用意できます──なんて言えないよな。
「君という存在を手に入れた世界は、文字通り死兵を使いこなせるんだよ。どれだけ体が損傷しようとも、君のポーションを掛ければあら不思議……体は元通りになって、再び戦場を駆け巡る兵士が復活だ」
「そ、そんなに凄いんですか?」
どうしようか……すでに家族に24ダースぐらい送ってあるぞ。
しかも『親しい奴にも、ダース単位でプレゼントしてくれて良いぞ。道端に生えてる雑草でできてるから(笑)』なんてメッセージも付けちまったよ。
「当然さ。生産世界の人たちなら、君を王として迎え入れるかも……うん、ゴメン。絶対にそうしてくれるし、それを強制してくる。あそこは生産技術がもっとも高い人が、王になる場所だから」
……うん、:DIY:という邪道を使ってまで、王になろうとは思わないな。
そもそも一国ならぬ一星の主にはとっくになっているようなものだし、関わらないのが吉なのか?
「それを防ぐ方法の一つとして、ぼくは君を偽りの鎖で縛ろうと思う。すでにこのギルドで飼われているとなれば、下手に手は出せないからね」
「その場合、私はどのように振る舞えばいいのですか? それに、そこまでしてくれる理由は……」
「あっ、敬語は気にしなくていいよ。理由は今は内緒さ。君にはこれを、もう少し薄くしたポーションをギルドに売ってほしい。このままだと、絶対にさっき言った展開になりそうだからね。欲しい物があったら今言って。契約をしてくれたらすぐになんでも用意してみせよう」
「……なんでも、ですか?」
「君のポーションには、それだけの価値がある……今はそう考えておいてね」
この後、しばらく悩んでから──契約を受けた。
欲しい物も告げたし、これで普通のプレイヤーらしい行動ができるかな?
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