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DIY、捌いて裁く
懇神会 その24
しおりを挟むエインヘリヤルVSヘーロース、槍使いの英霊と相対するのは半神半人のヘラクレス。
槍使いが『プログレス』を駆使する中、ヘラクレスもまた自らの権能を振るう。
「棍棒が……ライオンの頭部を模したな」
《『ネメアの獅子』を模したものでしょう。人や家畜を襲ったとされる神話の怪物です》
「ふんふん、それに対して槍使いの槍は何やら光り出したな……必中の槍、とか必殺の槍とかなのかな?」
返答を聞く前に戦いが再開される。
ヘラクレスが棍棒を振るうと、先端のライオンが獅子吼を上げた。
それは強力な威圧となり、敵対者を怯ませる……が、槍使いはそれをただ槍を一閃させるだけで打ち払う。
そのまま振るった槍を担ぎ、後ろへ。
投げ槍のようなポーズをすると、全力でそれを投げる。
「必中……じゃないみたいだな。けど、そういう使い方もできるのか」
《『ドリフトドリル』の回転を操作し、進行方向もコントロールしているようですね。また、回転により攻撃そのものの威力と貫通力の向上も図る……素晴らし戦法です》
「ただまあ、修練が必要になるだろうな……アレだけの速度で確実に当てるとなると」
回転速度が上がれば上がるほど、槍は空気すらも削り取り加速していく。
ヘラクレスはあえてそれを回避し続け、その瞬間を待っている。
舐めプでも、槍使いが操作を誤るのを待っているわけでもない。
──最高の速度に到達したとき、それが勝負の時なのだ。
「まあ、これも余興だもんな……何より、威信を賭けた戦いだ。最高のパフォーマンスをぶつけ合うことこそ、神々が望むことか」
槍使いもそれが分かっているのだろう。
当たらないことには腹を立てず、加速にのみ集中させることなくしっかりとヘラクレスに向けて槍を当てようとしている。
すでに速度は音速の域を超え、人の目では視認し難い光速の域に辿り着いていた。
槍使いはここで最大だと叫ぶ、ヘラクレスは悪意を感じさせない笑みでそれに応える。
獅子を取り払い、再びただの棍棒となった傑物を構えた。
槍使いの槍もまた、速度を保ったまま回転数を上げてヘラクレスに真っすぐ突っ込む。
「──終わったな」
《はい、想定通りです》
ヘラクレスは振り下ろした棍棒を槍にぶつけ──地面に叩きつける。
その時点で槍使いは手を上げて降参を宣言し、決着となった。
「惜しむらくは、『ドリフトドリル』の強化がまだ足りていないことか……圧勝とは言わずとも、いい勝負はできただろうな」
《ですが、貴重な情報を得られました。従来の『ドリフトドリル』では、あのようなことはできておりませんでした》
「ああ、今度話をさせてもらおう。いい情報交換になると思うぞ」
まだまだ『プログレス』は成長する。
いずれは半神半人の英霊に、やがては神にすら手を伸ばせる能力が目覚めればいいな。
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