2,105 / 2,721
DIY、捌いて裁く
懇神会 その24
しおりを挟むエインヘリヤルVSヘーロース、槍使いの英霊と相対するのは半神半人のヘラクレス。
槍使いが『プログレス』を駆使する中、ヘラクレスもまた自らの権能を振るう。
「棍棒が……ライオンの頭部を模したな」
《『ネメアの獅子』を模したものでしょう。人や家畜を襲ったとされる神話の怪物です》
「ふんふん、それに対して槍使いの槍は何やら光り出したな……必中の槍、とか必殺の槍とかなのかな?」
返答を聞く前に戦いが再開される。
ヘラクレスが棍棒を振るうと、先端のライオンが獅子吼を上げた。
それは強力な威圧となり、敵対者を怯ませる……が、槍使いはそれをただ槍を一閃させるだけで打ち払う。
そのまま振るった槍を担ぎ、後ろへ。
投げ槍のようなポーズをすると、全力でそれを投げる。
「必中……じゃないみたいだな。けど、そういう使い方もできるのか」
《『ドリフトドリル』の回転を操作し、進行方向もコントロールしているようですね。また、回転により攻撃そのものの威力と貫通力の向上も図る……素晴らし戦法です》
「ただまあ、修練が必要になるだろうな……アレだけの速度で確実に当てるとなると」
回転速度が上がれば上がるほど、槍は空気すらも削り取り加速していく。
ヘラクレスはあえてそれを回避し続け、その瞬間を待っている。
舐めプでも、槍使いが操作を誤るのを待っているわけでもない。
──最高の速度に到達したとき、それが勝負の時なのだ。
「まあ、これも余興だもんな……何より、威信を賭けた戦いだ。最高のパフォーマンスをぶつけ合うことこそ、神々が望むことか」
槍使いもそれが分かっているのだろう。
当たらないことには腹を立てず、加速にのみ集中させることなくしっかりとヘラクレスに向けて槍を当てようとしている。
すでに速度は音速の域を超え、人の目では視認し難い光速の域に辿り着いていた。
槍使いはここで最大だと叫ぶ、ヘラクレスは悪意を感じさせない笑みでそれに応える。
獅子を取り払い、再びただの棍棒となった傑物を構えた。
槍使いの槍もまた、速度を保ったまま回転数を上げてヘラクレスに真っすぐ突っ込む。
「──終わったな」
《はい、想定通りです》
ヘラクレスは振り下ろした棍棒を槍にぶつけ──地面に叩きつける。
その時点で槍使いは手を上げて降参を宣言し、決着となった。
「惜しむらくは、『ドリフトドリル』の強化がまだ足りていないことか……圧勝とは言わずとも、いい勝負はできただろうな」
《ですが、貴重な情報を得られました。従来の『ドリフトドリル』では、あのようなことはできておりませんでした》
「ああ、今度話をさせてもらおう。いい情報交換になると思うぞ」
まだまだ『プログレス』は成長する。
いずれは半神半人の英霊に、やがては神にすら手を伸ばせる能力が目覚めればいいな。
0
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
モブに転生したはずが、推しに熱烈に愛されています
奈織
BL
腐男子だった僕は、大好きだったBLゲームの世界に転生した。
生まれ変わったのは『王子ルートの悪役令嬢の取り巻き、の婚約者』
ゲームでは名前すら登場しない、明らかなモブである。
顔も地味な僕が主人公たちに関わることはないだろうと思ってたのに、なぜか推しだった公爵子息から熱烈に愛されてしまって…?
自分は地味モブだと思い込んでる上品お色気お兄さん(攻)×クーデレで隠れМな武闘派後輩(受)のお話。
※エロは後半です
※ムーンライトノベルにも掲載しています
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
ハッピーエンド保証!
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
11月9日~毎日21時更新。ストックが溜まったら毎日2話更新していきたいと思います。
※…このマークは少しでもエッチなシーンがあるときにつけます。
自衛お願いします。
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
愛されていたのだと知りました。それは、あなたの愛をなくした時の事でした。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
リリナシスと王太子ヴィルトスが婚約をしたのは、2人がまだ幼い頃だった。
それから、ずっと2人は一緒に過ごしていた。
一緒に駆け回って、悪戯をして、叱られる事もあったのに。
いつの間にか、そんな2人の関係は、ひどく冷たくなっていた。
変わってしまったのは、いつだろう。
分からないままリリナシスは、想いを反転させる禁忌薬に手を出してしまう。
******************************************
こちらは、全19話(修正したら予定より6話伸びました🙏)
7/22~7/25の4日間は、1日2話の投稿予定です。以降は、1日1話になります。
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
白紙にする約束だった婚約を破棄されました
あお
恋愛
幼い頃に王族の婚約者となり、人生を捧げされていたアマーリエは、白紙にすると約束されていた婚約が、婚姻予定の半年前になっても白紙にならないことに焦りを覚えていた。
その矢先、学園の卒業パーティで婚約者である第一王子から婚約破棄を宣言される。
破棄だの解消だの白紙だのは後の話し合いでどうにでもなる。まずは婚約がなくなることが先だと婚約破棄を了承したら、王子の浮気相手を虐めた罪で捕まりそうになるところを華麗に躱すアマーリエ。
恩を仇で返した第一王子には、自分の立場をよおく分かって貰わないといけないわね。
魔がさした? 私も魔をさしますのでよろしく。
ユユ
恋愛
幼い頃から築いてきた彼との関係は
愛だと思っていた。
何度も“好き”と言われ
次第に心を寄せるようになった。
だけど 彼の浮気を知ってしまった。
私の頭の中にあった愛の城は
完全に崩壊した。
彼の口にする“愛”は偽物だった。
* 作り話です
* 短編で終わらせたいです
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる