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DIY、捌いて裁く
懇神会 その17
しおりを挟む水中戦、迸る雷を無視して『SEBAS』が戦闘プログラムを使い──剣を振るう。
星の剣が放った斬撃は、[クノッソス]の剛毛を切り裂き赤い液体を散らした。
「っ……これは」
『──ッ!!』
斬り付けた後、俺は剣を回収しようとしたが──それを[クノッソス]が阻む。
筋肉で[虚膨]を捕らえ、体を引き締めることで固定したのだ。
そして[クノッソス]は雷の斧を振るう。
ただの雷ならば、死に戻りで回避可能──だがこの雷は神の神威を与えられた神雷。
「ぁ……」
振るわれた刃は、迷うことなく俺の頭を胴体から切り離す。
目は一瞬で白く染め上げられ、すぐさま黒く染まった。
痛みなど感じる間もない、だが体の一切が動こうとする力を失っている。
人間は電気信号で動いているというが、その回線すべてが焼き切れたのだろう。
《──、────!!》
それでも『生者』の権能は俺を動かし、頭部は再び首との接続を果たす。
だが俺の意識は途絶したまま、肉体と精神は良くとも魂魄──意志と接続できない。
感覚的に、周囲がどうなっているのかは理解できるのだが……それを把握し、対処するために体を動かせないでいた。
まあ、そんな状態であれば本来詰みなのだろうが──俺には『SEBAS』が居る。
体は結界を弾く要領で勝手に動き、有り余る身体能力で自動的に迎撃を行っていた。
しばらくして、真っ暗な世界に小さな光が現れる。
それは四角い画面で、まさしくモニターと言うべき窓だった。
(なるほど、前に『セバスチャン』を起動したときと同じようなものか)
主導権を完全に委ねた場合、こんな状態になるらしい──他にも状態異常などで自分の意思の通りに体が動かせなくなると、休人は総じて黒い場所に飛ばされるとのこと。
問題が解決すれば、元の状態に戻るらしいが原因によって時間は変わる。
神の雷にやられた俺が、そう簡単に治るわけも無いし……『SEBAS』任せだな。
(いけっ、そこだっ、頑張れ!)
水中の中でも器用に動き回り、これ以上攻撃を受けないよう立ち回る『SEBAS』。
すでに斬撃痕は自然治癒で塞がれているので、ただ待っているだけでは終わらない。
魔力を注いだ[虚膨]を自在に操り、何度も斬りつけている。
だが[クノッソス]も威力を警戒し、躱したり防御を集中して対処していた。
なんだか終わりの無い泥仕合になりかけているが、時間は確実にこちらを有利にする。
だからだろう、[クノッソス]は斧二つをまるで合わせるように重ねた。
(おおっ、大迫力だな……)
完全に観戦気分だが、実際モニターは俺の目線なのでまさにそんな感じだ。
斧二つが重なると、それらが一つになり超巨大な斧となる。
そして『SEBAS』は対抗するように、[虚膨]を巨人サイズにまで大きくした。
それらがぶつかり合い、水が爆発するように飛び散るのを俺はただ見つめるのみ。
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