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DIY、捌いて裁く
懇神会 その12
しおりを挟む俺が行ったこと、それは『侵略者』の能力による迷宮の侵略。
文字通り迷宮と一心同体な[クノッソス]に、これは上手く通じた。
「──『SEBAS』」
《侵略した迷宮を【救星者】によって統制します──成功しました。進行度を数値化し、投影します》
「……まだ一割も満たしていませんか。さすがは、[クノッソス]と言ったところでしょうかね」
『──ッ!!』
何か対策をしたらしい[クノッソス]は、頭を抱えるのを止め怒りの咆哮を上げる。
それでも俺は怯まず固まらず、淡々と迷宮の侵略を行う。
感覚的に何をすべきなのか分かるのか、すぐさま俺を掴んでぶん投げる。
正確には掴んだのは結界だが、中に入っている俺もまた自動的に移動させられた。
途端、進んでいた迷宮の侵略が止まる。
そして体が壁に衝突すると、再び数値化されたカウンターが動き出す。
「そう、正解です。迷宮に触れることで私の能力は発動します──さて、どうします?」
あくまでも『侵略者』の能力。
どれだけ強化しようと、彼らの脆弱さは俺に匹敵する。
生物同士(つまり俺と侵略対象)が接触していないと、効果が発動できない。
そのため[クノッソス]は、少しでも俺を迷宮から引き剥がすべく動くことになる。
「なるほど、こう来ますか」
『──ッ、──ッ! ──ッ!!』
連撃、何度も地に落ちそうな俺を吹き飛ばしては駆け寄り、再び吹き飛ばす。
たしかに迷宮に触れることは無くなり、数値はピクリともしなくなった。
たしかにこれは正しいやり方だろう。
──本来の『侵略者』が相手なら、の話ではあるがな。
『──、…………!』
「惜しむらくは、どれだけ傷つけようと私に変化が無いこと。『侵略者』が相手ならば、纏っている肉体を破壊して強制的に排除できたかもしれませんが──ええ、順調です」
指を鳴らすと同時、『SEBAS』が遠隔で操作して迷宮を弄る。
突然設置された罠が[クノッソス]を足止めし、俺の体が再び壁に突き刺さった。
「貴方もまた、[クノッソス]。攻撃の度に地道な干渉を行なえば……ご覧の通り」
迷宮侵略の進行度も二桁台に突入。
本当に単純な罠程度であれば、本来の主を差し置いて設置可能になった。
そう、途中から[クノッソス]自身に触れることで侵略を再開していたのだ。
ようやくバレないように干渉できる程度に侵略を終えたので、アピールをしてみた。
とはいえ、今回はありえないはずの騙し討ちだったからこそ。
普通に警戒されれば、同じ手などに度と通用しない。
──さて、ここからどうしたものやら。
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