虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、捌いて裁く

懇神会 その10

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 振り返りを終え、[クノッソス]に関する情報を又聞きした。
 英勇殺しのミノタウロス、彼を──この逃亡劇を見守る神々にある余興をすることに。

「そもそも、このショーは英霊たちが主張を告げるためのもの……という体で行っている制裁なわけですけど。実際の所、神々は気にしていませんよね」

 全知全能……かどうかはともかく、彼らの五感は人族を遥かに超越している。
 また、権能を誰もが持っているので必ずこの状況に合ったものもあるだろう。

 つまり情報の収集、選別などを可能にする諜報系の権能。
 神様は多種多様、どこでも特定の声を聞いたり嘘を見分けることもできるだろう。

「つまり、皆さんが求めるのは彼らが抗うために[クノッソス]を相手取る場面。なればこそ、お見せしましょう!」

《“職業系統樹”を起動──【勇者】を一時的にセットします》

「……読み通り、来ましたね」

 誘き寄せるため、【勇者】の職業を一時的にセットする。
 すると、これまで遠くに向かった英霊を追いかけていた[クノッソス]に変化が。

 より近い英勇──【勇者】の俺を狙い、こちらへ駆けてきた。
 しばらくして現れた[クノッソス]、先ほどまで感じていなかった恐怖の波動が襲う。

 ……しかしすぐに死んでしまう俺に、大した効果は無い。
 それは向こうも理解したのか、展開していたオーラを消して武器を構える。

「『SEBAS』、頼むぞ」

《畏まりました──戦闘プログラムを起動します》

「俺もっと──“千変宝珠・万能ノ乙女”」

 形状と属性を自在に変えられる魔力球を構築、それを構えて相対した。
 始まりは唐突、咆哮を上げ[クノッソス]が勢いよく突っ込んでくる。

「──“孤独蟲毒”、“精辰星意”」

 対する俺はバフとデバフを同時に展開し、攻撃をただ体で受ける。
 あくまで余興なので、透過はせず結界が擬似的に受け止め体を吹き飛ばす。

 死んだことにより自己強化が行われる俺、対してレベル差によって少しずつ能力値の減衰が行われる[クノッソス]。

 自分に起きた状況を理解したのだろう、早急に俺を殺そうと壁に突き刺さった俺を仕留めるために加速した。

「──『インストール:ビーストオーブ』」

 俺が言葉を紡いでいる間、『SEBAS』が代わりに発動した転移が[クノッソス]の突撃を回避する。

 すぐに転移先を割り出し、斧を投擲してくる──が、結界が体を吹き飛ばすだけでそれ自体は壊れない。

 そうこうしている間に、宝形が俺の眼の前に浮かび上がった。
 指定した獣の力を引き出せる能力、そこにある要素が加わることで更に強くなる。

「『魔王の取腕』──『覇獸』を100に」

 それは、俺が接してきた権能持ちの権能を一時的に使うための代物。
 今回起動したのは、喰らった魔物の能力を再現できる『覇獸』の権能。

 そして、再現対象に選んだのは──

「来い──『侵略者バシビウス』」

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