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DIY、捌いて裁く
オリンポス山 後篇
しおりを挟む自力での到達を諦め、貸しと引き換えに書状を認めてもらった。
これにより、ある人物に貸しが二つもできてしまったが……ええい、覚悟の上よ。
「──これはこれは、なんと……」
「あの、何か?」
「いえ、何でもございませんよ。ようこそ、オリンポス神殿へ」
そんな俺ではあったが、神殿の入り口に着いた時点で老人に絡まれていた。
しかしながら、その衣装はとても華やかな装飾が付いた物で……うん、上の立場だ。
「申し遅れました。私はツクル、しがない失名神話の信仰者です」
「失名神話? ……なるほど、そういうことでしたか。ですが、この場でギリシア神話意外の名を名乗るとは──覚悟はよろしいのでしょうか?」
「ええ、貴方様を信頼して──包み隠さず、とは言わずとも大切なことはしっかりと伝えておくべきかと」
「ふむ、そうですか……」
なんて会話をしているが、俺の周りには白尽くめの集団が居て──武器を構えている。
あからさまなまでの殺意、だがそれがどうしたと無視して老人と会話をしていた。
「お主ら、もう引け」
「…………」
「ハァ……神託が下っている。この者は、此度の宴に招かれた者──新人神でもある。それを通さぬということはすなわち、ギリシア神話の過ち。不敬である、早々に去れ」
「……ハッ」
リーダーらしき人物がぼそりと答えると、この場に居た全員が老人を残し消える。
しばらくして完全に居なくなったと俺が感じ取ると同時に、老人も溜め息を吐いた。
「謝罪を。彼らも此度の宴に、複雑な心境を抱いているのです。どうして自分たちはその場に居ることができないのか、その苛立ちは彼ら自身の問題です」
「いえ、構いませんよ。私とて、軽率な発言で彼らを惑わせてしまいました」
「……達観しておられますね。それもまた、神に辿り着く要因なのでしょうか?」
「さて。私に分かることは、これはそんな高尚なものでは無いということだけ。そこにあるのは酷く傲慢で、経験に基づいた一種の自負だけですよ──たとえ神であろうと、私の歩みは止められないというね」
◆ □ ◆ □ ◆
老人に案内され、辿り着いたのは神殿の最奥だった。
そこには一枚の絵が置かれている──それはこの神殿と瓜二つ。
「本当の神殿はこの先に。資格を持つ者が触れれば、先へ向かうことができると」
「貴方にもその資格があるのでしょう? 行きたいとは思わないのですか?」
「さて、どうでしょうか。ですが、私がこの場から居なくなることで、問題が生じることもあるでしょう……また会う機会がございましたら、その時はぜひこの先の話でも」
「ええ、それはぜひとも」
老人──この神殿の最上位に位置する彼とそんな約束をして、俺は絵に触れる。
すると、俺の体は絵の擦り抜けてそのまま中へ──
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