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DIY、捌いて裁く
借り物の欠点
しおりを挟む新たに普及された『プログレス』の拡張システム──コネクト。
これが、圧倒的な個の力に対抗し得るモノであると信じて。
「準備はよし……あとは当日を待つだけだ」
世界中に『プログレス』をばら撒く作業も済み、懇親会ならぬ懇神会はもう明日だ。
販売だけでなく、持っていくアイテムの確認や装備の手入れなども済ませてある。
「『SEBAS』、コネクトシステムの売れ行きはどうなっている?」
《WITHシステムと比べますと、やはり下回っております。事前の予告通り、二人の接続が必須という点が原因でしょう》
「単独で活動するヤツ、パーティーでも信頼関係が無いところはな……最悪、不信感が高まって解散になりかねん」
コネクトシステムは言わば、双方の絆により『プログレス』の出力を増幅する。
眼に見えて成果が出ないならば、誰だって相手を疑ってしまう。
《効果的に運用できている者たちには、かなり有用なようですよ。イベント世界のコロシアムや、固有種討伐などにも用いられている光景を観測しております》
「強大な相手を倒す切り札、みたいな使い方だもんな。まあ、きちんと使えるか使えないかは今までの信頼関係次第だし……今から改めれば、使えないわけじゃないからな」
心を改め、絆を深めるべく行動すればいずれはある程度意味のある出力となる。
まあ、それ目当てで絆を深めるという行動自体が、阻害行為になっていそうだが。
「『超越者』連中も文句は言ってこないようだし、しばらくは安泰だな。元より、誰かが発現させた力をパクって誰でも使えるようにしただけだし。これをさらに超えるシステムが、あるかどうかが問題か」
《発現者の特定にはもうしばらく、時間が掛かります。彼らを追うことで、何かが分かるかもしれません》
誰が最初に成し遂げたのか、それが判明していないコネクト。
どこで、どの『プログレス』でかは分かっているが、個人の特定はできていない。
なぜなら、冒険世界ではない場所で成し遂げられていたから。
今なお、刺客が向けられている俺と敵対する星での成功だったようだし。
「…………けどさあ、これって俺が使う機会無いんだよな」
《旦那様のインストール、“神持祈祷”はあくまで借り物。旦那様由来の能力では無い以上、発動は難しいかと》
「理論も理屈も分かっている以上、諦めるしかないよな…………ルリと一度くらい、試してみたかったな」
もちろん、ショウやマイとも。
淡い希望が頓挫し、がっくしといった心情であった。
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