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DIY、捌いて裁く
コネクトシステム
しおりを挟む改めて、ルリの凄さを思い知った。
たった一言、それだけで行き詰っていたデバッグ作業が終わってしまうのだから。
「この、『プログレス』間のシンクロによる相乗効果……とりあえず、コネクトシステムと呼ぶことにしたわけだが。これを広く普及することは、できると思うか?」
《可能でしょう。常時の発動は現実的にも見込めませんが、休人であればゲームの知識と合わせて溜めが必要な協力技程度に認識してくれるでしょう》
「シンクロ自体は武技や魔法でも、すでに存在しているからな。ただ、一人ひとりバラバラな能力の『プログレス』だから、その辺で運営に問い合わせが殺到しそうだな」
いわゆる合体技、それこそが女神プログレスが言っていた一種のバグ。
俺も『SEBAS』も想定外、しかし可能性としては確かにあったモノ。
少し前、【魔王】討伐に赴いた休人たちもやっていたある種のコンボ。
それをより深く、『プログレス』同士の相乗で行うのがコネクトである。
「まあ、ショウの“チェインソウルズ”みたいなものか。ある種の信頼も必要になるようだし、どちらかを主導にもう片方の力が乗るのも似た感じだ」
《今回はWITHシステムとは違い、使用する者にも選り好みが生まれるはずです。搭載には、それなりにリソースが必要でしょう》
「だな。ソロのヤツがわざわざ入れる必要は無いし、逆に複数人でも信用も信頼も無いような連中には無用だ。けどまあ、可能性はどれだけあってもいい……チャンスすら与えられないより、ずっといい」
このシステムは、王道漫画のような友情・努力・勝利そのものと言ってもいいだろう。
他者を信じ、共に研鑽を積むことで、発現する力が強大な敵に勝るのだから。
《我々の予想を凌駕する、それこそ各星々の権能保持者に匹敵する力もまた誕生するかもしれません。一人では及ばずとも、二人……組み合わせを変えて何人も挑めば、一騎当千の彼らにも通用するでしょう》
「まあ、数の力は偉大だなぁ。だからこそ、俺は万人に『プログレス』を配ったんだ。俺の『生者』の権能……は正直自分でも驚くぐらい攻略簡単だし、一番最初に『超越者』狩りに遭いそうだな」
今まで挑む相手全員に、有利に働いている(ように見せてきた)『生者』の権能。
しかしその内容は至ってシンプル、死に戻り座標の固定と一部[称号]の多重行使だ。
死んでもその場に残り、デスペナも無く、封じようと自害で勝手に健全な状態に戻る。
何より、自分の命を顧みない特攻を無限に試すことができるからな。
「うん、それはそれで見てみたいな……それじゃあ『SEBAS』、時間も無いしさっさと始めようか!」
《ええ、畏まりました──コネクトシステムの追加拡張パック、生産開始です》
そうして数日後、世界中に『プログレス』の新たなシステムが普及するのだった。
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