2,061 / 2,853
DIY、捌いて裁く
続探索イベント その10
しおりを挟むメインストーリーの中級、不思議な屋敷の攻略を行うことに。
ただ、そのまま攻略するというのも味気ないので、ある種の縛りプレイをしてみた。
「──“神持祈祷”」
事前にインストールで『イッスンボウシ』の能力を発動していたが、それとは異なるやり方──女神プログレスを経由した借用により、もう一つの『プログレス』を起動する。
「──『ダイダラバッチ』」
一寸になれる帽子を被っている現状、重ねて出現したのは──小さなバッチ。
山とそれよりも大きい人が描かれたそれを服に着け、行動を開始する。
「よっと──“星転飛流”」
さまざまな水を生み出す星具の靴。
それを利用し、足場にできる水を無数に生み出して階段として踏み進んでいく。
一寸サイズの小さな俺なので、必要とする水の量も少なくなり足取りも軽い。
やがて辿り着くのは扉のすぐ近く、そこには鍵穴があり……そこに足を着ける。
「この先は……『SEBAS』、どうなっている?」
《極小のドローンを飛ばし……空間の捻じれに呑み込まれました》
「うん、不味いな。ダメなのは、鍵穴のどこからどこまでだ?」
《鍵穴の先までは空間は安定しております。それより先は、エリアが構築されていないため空間が不安定になっているようです》
ドローンは消失。
休人ならば死に戻りして回収してもらえるのだが、ドローンにそんなシステムは無いのでどこでもないどこかへ消えてしまう。
まあ、失敗してもいいので……ということでとりあえず試している現状。
着けているだけで何もしていなかったバッチに触れ、その力を発揮する。
「大きくなーれ──『ダイダラバッチ』」
帽子は被ったままだが、能力の優先が俺の意識によって切り替わった。
結果、バッチの効果──巨大化が優先されるため、俺はその場で大きくなっていく。
「『SEBAS』、結界を頼むぞ!」
《畏まりました。出力最大、『星護結界』とリンクして起動します》
体が巨大化すればどうなるか……膨張によりぶつかる扉の枠が、俺の体をそれ以上膨らまないよう押し付ける。
扉は破壊不能オブジェクトであり、どれだけ殴りつけようと壊れない。
……例外はある、ただし俺はその条件を満たしていない。
「でもあるんだよな……これ」
それは籠手型のアイテム。
かつて【魔王】から採取した、特殊個体のドッペルゲンガーの細胞。
彼の能力である再現と簒奪を模倣し、これまで多くの強者から権能を拝借していた。
そして今回、ある休人から模倣した権能を借りることに。
「借りるぜキーシ──『破天』起動」
権能効果は破壊不能の破壊。
要するに、ありとあらゆる物を壊すことができる……これまでは微動だにしなかった扉だが、突如として軋み始める。
そして、扉は砕かれ──その先への道が開かれた。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる