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DIY、捌いて裁く
納品揉め 前篇
しおりを挟む冒険世界 始まりの街
新たに改造を施したジェム式の原付き、そのシミュレーションも済んだ。
ジェムの効果を実際に試すこともできたので、大満足の結果である。
「とはいえ、そんなにすぐ使う機会も無いけどさ……転位って便利だよな」
某猫型ロボットでも、どこでも行けるドアのせいでSFチックな鉄道が運行停止という結果になった。
それと似たようなもので、結局座標を指定して転位すれば俺でも一瞬だ。
……ずっと原付きに乗っていると、様々な要因で死ぬのも転位する理由に含まれるな。
「今日は『騎士王』も来ていないし、たまにはふらふらっと時間を潰そうかね」
同じく、『超越者』などの強者の反応も無いし、厄介事も普通にスルー。
いつの世にも善良なヤツは居るわけで、彼らにこそ役目を譲るべきだ。
「とりあえず、生産ギルドに納品をしてからだなぁ……毎度毎度、薄めたポーションでも買ってくれて助かります」
むしろ、薄めてくれと言ってくれるのだから仕方が無いだろう。
実際、素の状態で出すと効果が高いやら長持ちするやで初期型が揉めたそうだ。
最終的に、ギルド長が信用できる方に処理をお願いしたそうだ……一度として『人物』とは、言ってなかったんだよな。
◆ □ ◆ □ ◆
生産ギルド
『──ッ!!』
何やら受付の方が騒がしい。
物凄い勢いで[ログ]が更新されていく。
本来聞こえる範囲ならば、その内容も表示されるのだが……うん、死んでいるし。
相当力んでいるのだろう。
そして、それが声に魔力を籠めて強化する形になり──周囲に大変ご迷惑な諍いと化していた。
正直、関わるのは避けたい。
だがしかし、生産ギルドはあまりそういった事柄が起きないため、武闘派休人の所属率は著しく低く、応援は見込めなかった。
「仕方がありませんね……」
意識をいつものモードに切り替え、俺は一歩踏み出す。
諍いを起こす二人組──それをスッと避けて俺はカウンターに進み出た。
「あの、納品の依頼を──」
『ちょっと待て!』
「ポーションなんですが……」
『おい、無視するんじゃねぇ!』
肩を掴まれ……そうになるが、すぐに士に戻りを利用した無敵化で擦り抜ける。
何度やっても同じこと、例外は今の所理不尽な『騎士王』と『飛武』ぐらいだ。
「とりあえず、こちらですね。いつも通りの品を持ってきました」
「はい、納品ありがとうござます。品質に関しては疑いようがございませんので、依頼報酬をご用意しますね」
「? ええ、ではお願いします」
いつもなら、いちおうの確認という体で少し時間が掛かるのだが……ふむ、後ろから向けられる殺気が答えを教えてくれる。
なるほど、そういうことなのか……何も無いと思ったのに、やっぱりあるのか。
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