虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,043 / 2,815
DIY、捌いて裁く

かつての技術 後篇

しおりを挟む


 俺の知らないところで暗躍──もとい、いろいろ手を打っている『SEBAS』。
 彼の献身に応えるべく、あえて座して待つことを選んだ。

 俺が知っている場合と知らない場合とで、何か違いがあるのだろう。
 現実でもよくある、その変化で求める展開が失われないようにするためだ。

「まあ、神代についてはいいとしよう。他に謎の技術と言えば……うちだよな」

《これまでに開発したブラックボックス化した技術ですが、問題なく秘匿されているようです。しかし、『プログレス』の発展により少々問題も出ているようです》

「うーん、これこそ予想していた展開だ……詳しく聞こうか」

 俺は今まで、多くの商品を売ってきた。
 一番は薄めた蘇生薬と万能薬だが、それ以外にもアイテムを販売している。

 光の粒子を武器にする光粒銃や剣、そして誰もが今では知りつつある『プログレス』。
 文字通り、世界の進化を一段階早めたとも呼べる技術のごり押しだ。

 ……当然、:DIY:が無ければできないことだ──創造神様、それに失名神話の神々の皆様、本当にありがとうございます。

 消耗品系のアイテムは、その圧倒的な技術力で作っているため、たとえ解析しようと真似ができないので問題ない。

 だが装備などに関しては、常に残るということで技術を暴かれないようにブラックボックス化することで対策していた。

 その内容を暴こうとすれば、アイテムが使えなくなるので諦める。
 これまではそうして対策できていたが、どうやら勝手が違ってきたようだ。

《解析系の『プログレス』が発達し、初期のアイテムに施していた秘匿機構が解除されたようです》

「最新のヤツは大丈夫なんだな?」

《現状は。旦那様の技術発展に伴い、秘匿機構は何度も更新しております。ですが、懸念事項がいくつか……》

「ああ、分かっている。まあ、初期のアイテムなら今の人々が自力で作れるはずだ。開けたご褒美ってことで、こっちから何か口出しすることはしないでおいておこう……今はまだ、な」

 金に関してはそれなりに儲けているし、アイテムの特許などは始まりの街の生産ギルド長が取ってくれている。

 また、今の俺は生産ギルドの特級会員であるため、既得権益云々に関する話し合いにはかなり有利だ……暴いた技術をどうしようとも、俺には痛くも痒くもないわけだな。

「それに、『プログレス』に手を出そうものなら相応の制裁が下る……せめて、祈っておいてやろうか──休人でありますように」

 うん、原人がやっていた場合、後の処理が面倒になるし。
 文字通り、命懸けの挑戦になることを理解してもらいたいよ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。 そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。 これは足りない罪を償えという意味なのか。 私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。 それでも償いのために生きている。

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...