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DIY、捌いて裁く
かつての技術 前篇
しおりを挟むアイスプル
一先ず、『プログレス』で試練を無数に突破しても静観するとの言を『騎士王』から聞くことができた……そうじゃなければ、強制離職もありえていただろう。
俺はいつも、条件を全部達成した状態にすることで試練を無視して経験値を支払うだけで済ませていたが……あくまで【救星者】だからできたこと。
それができるチート職に就いている現状に感謝し、この件についてはしばらく俺もまた放置しておくことに……『プログレス』の発展は日進月歩で進んでいるからな。
「──さて、タクマと話していて思ったことが一つある。機械、そして魔物の生体素材を用いた魔道具なんかだな。アレ、今の時代にどれくらい技術が残っているんだ?」
俺の持つチートスキル:DIY:。
創造神様の御業、そのごく一部を分け与えられたその権能は、俺に多くの生産技術をもたらしてくれる。
しかしながら、現実のモノはともかくこちらの世界の技術には少し疎い。
理由は不明だが、特に神代に用いられていた技術についてはほとんどさっぱりだ。
だが情報を聞いた限り、俺が謎に思う技術などはほとんどが神代産。
最近は、休人たちがそれらの復興に励んでいるようだが……だからこそ気になる。
「まあ、職業自体がもたらす技術もあるだろうし、神代には神々も地上に降りていたって聞く。実際、絶対にできないというわけでも無いんだろうが……ハードルは高いだろう」
《そうでしょう。職業によって与えられる知識は、実際にシステム内に蓄積された過去の生産工程そのもの。何も無い時代、それは知識すら持っていなかったということ。神々の干渉が、間違いなく行われていたはず》
「だろうな。いちおう、超天才がその時代に存在してやり遂げたって可能性も無くはないけど……実際そこんところ、どうなんだ?」
《…………ありえなくはありませんね。神代から現代に至るまで、膨大な時間が存在しております。神々が実際に居て、祝福を授けたこともあるでしょう。その中に、技術や知力に特化した者が居ればあるいは──》
そう、まさしくルリやショウ、マイみたいな存在が生まれないわけでは無い。
俺のようなハズレばかりが生まれてくる世界だが、可能性は0では無いのだ。
「だよなぁ。特に、願望機なんてとんでも存在をわざわざ神々が創るとも思わん。そうなると、人の手でその機械は作られたということになる……はてさて、いったいどんな天才が創り上げたのやら」
創作物ならとんでも博士が今なお生きている、なんて展開もありそうだが。
……いや待て、実際にこの世界なら可能な気がするな。
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