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DIY、刺客に抗う
天空攻防 その06
しおりを挟む封じられた『SEBAS』との連絡、そして魔道具と新規のアイテム。
相手の目的は俺をどこかで連れていくことのようだが、目的地はおそらく上。
途中で抵抗し、水を生み出す星具を使い足場は用意した。
そう、使えるのは星具……かつて生み出した無数のアイテムが勝利の鍵を握る。
「……愚かなことだ。抗わず、そのまま落ちていれば楽だったものを──だが、それでこそ『生者』なのだろう!」
「お褒めいただき光栄です。これでも、二児の父であり愛する妻を持つ身。あまり恥の多い終わりには、したくありませんので」
どうやら、『飛武』的には抗うのは大歓迎な模様……そのうえで叩き潰す、というのが爛々と輝く眼光で分かります。
なればこそ、俺も必死に抵抗して生き延びなければならない。
前回──『愚かな賢者』襲来時──のように救援は来ない、であればだ。
「──『銃』」
先ほど用いた腕輪型のアイテム。
再びそれが俺の声に応じて輝くと、今度は形状を変えて俺の手に収まる。
星具『星核の武玉』。
ありとあらゆる武具に形を変える逸品は、星が存在する限り決して消えない。
「術式装填──“千変宝珠”」
現在、【救星者】が常駐化させている職業スキルはかなり多くなっている。
そのうちの一つ、【魔銃士】のスキルで可能になる術式の弾丸化。
籠めるのは毎度お馴染み“千変宝珠”。
普段なら『SEBAS』が職業補正無しでもサクッとやってくれるところだが、今は自分の力だけでどうにかしないといけない。
そんな事態も想定していたからこそ、対策として一人でできるようにしていたわけで。
脳裏で【死戦士】のスキルをフル活用し、思考速度を上げながら『飛武』に向き合う。
新規に何かを使うことは無理でも、既存のモノならば可能。
職業も、すでに就いているモノ……というかセットさえしていれば──
「──“神持祈祷:グランドマロット”」
「! 例のアレか!」
「ご存じのようですね……では、たっぷりとお楽しみください」
かつてのMMO仲間、ロームが発現させたこの『グランドマロット』。
効果はとてもシンプルで、自分の持つ魔法に持っていない魔法を重ねるというもの。
得た当人からすれば、すでに得ている魔法が多い分、組み合わせも苦労するだろう。
強力な魔法も多く得ている以上、それ以上に強力な魔法も多くは無い。
……だが、俺の場合就いた魔法職が提供する基礎的な魔法以外、ほとんど持っていないわけで──そして、膨大な知識が失われた魔法すらも把握させる。
休人の身は万能の才を持つ。
ゆえに俺は、現存する……いや存在しているモノだけでなく存在していたモノも含む、ありとあらゆる魔法を使うことができる。
「──“上書編纂”」
弾丸として射出した“千変宝珠”。
その一つ一つの術式が、【改魔士】の職業スキル効果で書き換わっていく。
構成がかなり自由な、『騎士王』が開発した術式だからこそ簡単にできる。
そしてそこに、『グランドマロット』の効果が載り──大爆発が起きた。
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