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DIY、刺客に抗う
天空攻防 その04
しおりを挟む武闘世界からの使者、『飛武』。
気配を読み取るレベルの武人に対し、俺は『バトルラーニング』を用いて抵抗する。
「なるほど、その動き……地上での戦いにはかなり慣れているようだ。だが、上を向くことはそう無いようだな」
「いえいえ、そのようなことを。私どもの世界では、上を向いて歩こうと小さい内から教育されておりますので」
「減らず口を……いつまでそのように演じ続けていられるか、見ものだな!」
翼をはためかせる『飛武』だが、その戦闘スタイルは超高度からの絨毯爆撃……ではなく、まさかの近接スタイルだった。
滑空して近づいてきた『飛武』は、俺より少し高い場所で止まり蹴りを放ってくる。
蹴りは拳よりも威力が出る、そこに滑空による速度も加わることでさらに強力に。
この時はまだ機能していた結界を展開し、振るわれた脚撃を防ぐ。
結界自体の強度は常日頃から向上させているので、完全に破壊されてはいない。
……だが、結界に罅ができていた。
それなりに威力が出ていることは分かったので、『SEBAS』がさらに結界の強度を上げてくれる。
「むっ、面妖な……ならば、これだ!」
再び更に飛ぶと、今度は翼を動かす。
すると先ほどよりも早くなり、威力もまた向上していた。
《接種完了──『飛武』、攻撃までの距離や飛空時間などで強化が行われる【飛闘王】に就いているようです》
(最上位職に就いているのか……まあ、だからこそ向かわされたのかもな。『飛武』の権能も暴き出しておいてくれ)
《畏まりました》
これまた毎度お馴染み、【魔王】の細胞を培養して作り上げた『魔王の取腕』。
触れた相手の情報を模倣し、簒奪することで一時的に権能を利用することができる。
それはつまり、擬似的にではあるが情報を手に入れることができるということ。
今回もまた、相手が語っていない職業と権能を知ることができた。
「そろそろ、こちらからも迎撃をさせていただきますよ──“千変宝珠・重力”」
「重力か……先ほどと言い、それが汝の力に関するものなのか?」
「さて、どうでしょうか。お察しの通り、触れれば体が重くなりますよ──さぁ、どうか踊ってください!」
魔力だけはそれなりだが、加えて魔道具で貯蓄した魔力によって供給量を上げている。
その分重力の性質も強化され、本当に触れただけで地に落ちるレベルになっていた。
魔力の形態は弾丸、勝手に回転したそれらは宙を舞う『飛武』に向けて飛んでいく。
一発でも当たればアウトなそれが、数百数千と向かっている。
──だが、そのすべて『飛武』は躱した。
「なんともまあ……」
《旦那様、『飛武』の権能が判明しました。その効果は──》
「──さて、そろそろいいだろうか」
「!?」
突然走ったノイズ。
魔道具も正常に作動しなくなり、戸惑う俺に近づいた『飛武』が俺を掴んで空へとぶん投げる。
本来であれば、『生者』の権能もあり死んだあとは一時的に無敵になった状態でその場に残る……はずだ。
要するに、触れられたりすることもなく通り抜けるはずなのだが。
頭に『?』がいっぱいのまま、俺はこの場から脱する策を必死に考えるのだった。
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