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DIY、刺客に抗う
称号獲得実験 後篇
しおりを挟むアイスプルの迷宮で功績を稼ぎ、[称号]獲得を目論む俺。
条件達成のために三人の住民を連れて挑んでみたが、格下の出る迷宮では失敗。
そんなこんなで、家族が経験した強者を相手に再戦ができる迷宮へ移動。
石碑に触れることで、過去に存在した強敵がこの場所に現れる。
「──『黒淵穴亡[エクリエンド]』、これも登録されてるんだよな」
うちの住民であるエクリ。
彼女は人形で、その動力源である核に組み込まれているアイテム──『黒淵穴亡抽核遺骸[エクリエンド]』。
そう、そんなすでに遺骸としてアイテム化されてしまっている[エクリエンド]を、石碑は擬似的に構築していた。
「というわけで、俺たちは[エクリエンド]の再生個体を挑むことになる。死ぬことは無いし、いろいろとやってみよう」
『……先ほどのようなことをするのか?』
「そういうこと。まずは俺が死ぬ以外、問題無い感じのことからやってみるぞ」
『本来であれば、それ自体が……まったく、休人たちは本当におかしい』
風兎はぶつぶつとそう呟くが、それでも指示通りに動いてくれる。
まずは全員が一撃ずつダメージを与え、それから逃亡。
逃げるまでの間、俺が体を張って時間を稼ぐことで[称号]が手に入るはず。
追撃するように放たれる闇の棘を、一つずつ撃ち落としていく。
「──“千変宝珠・光/棘”」
魔術で構築した魔力に属性と形を与え、それを棘にぶつける。
威力は圧倒的に劣るものの、速度や方向が変化し離れる三人には届かなくなった。
そして、俺自身に向けられた棘に関してはいっさい手を付けていなかったため──全身に突き刺さる。
「こういうとき、逃がした後は大抵が死ぬパターンになるんだが……これで勝つのもいちおう[称号]にあるんだよな」
休人は死んでもデスペナがある程度で、一生の終わりというわけでも無いのでかなりの蛮行を繰り返していた。
そうして強敵に挑み、仲間を逃がすために一芝居……こっそり自分だけで挑み討伐するなんてことも、過去に在ったようだ。
あり得ないと思えるようなこと、故に功績として認められた[称号]。
……まあ、さすがに固有種に挑んで単独勝利という情報はタクマには来ていなかった。
「ショウとかルリなら、そういうこともできそうな気もするからゼロじゃないんだろうけども──やるぞ、『SEBAS』」
《畏まりました》
「すでに一回やっているもんな……もう一回やってやるよ。さぁ、精霊狩りじゃ!」
遺骸を得ているということは、つまりそういうことだ。
あのとき同様、『SEBAS』の補助付きではあるが──討伐を済ませるのだった。
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