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DIY、刺客に抗う
治外法権 前篇
しおりを挟む冒険世界 始まりの街
無事……かどうかはともかくとして、生産世界から帰還した俺。
先に生産ギルドで報告を済ませた俺を、攫うようにして『騎士王』との話し合いに。
「──単刀直入に言おう、『生者』に対する特例が公布された。これにより、『生者』を殺すことに何の咎めも無くなった」
「…………はっ?」
「さすがの『生者』でも驚くか……分かりやすく言えば、先に訪れた『愚かな賢者』のような者が現れても、『生者』関係ならばある程度見逃される、ということだ」
「…………どうしてそうなったので?」
言わば、人間治外法権。
俺という存在に関する事柄ならば、大抵のことは合法になってしまう……どうぞ殺してくださいと言わんばかりのサービスだ。
「『生者』を危険視した勢力の影響だろう。休人である以上、どれだけ殺そうと罪悪感は生まれない……『ろぐあうと』? とやらで二度と来れなくするつもりなのだろう」
「……俺、悪いことしたか?」
「いや、それもあるだろうが……不都合なのだろうな。『生者』の影響力がどんどん広がることで、困る連中も居る。彼らにとって利益よりも不利益の方が多いわけだな」
「なるほど……そういうことか」
俺といえば『生者』の理不尽なまでの復活と、:DIY:を介した生産技術。
前者は俺を表すものだし、後者は最近とても有名になりつつある。
それだけでなく、戦闘もできるし未知の魔法も把握している……なんて情報も他世界交流イベントを通じて知られていた。
休人は死んでも死なない、だがある時突然消えて二度と戻ってこない者も居る。
それらの情報は、他でもない休人自体から原人たちに伝えられていた。
だからこそ、『万象戯画』も殺すのではなく弱体化からの追放という手段を取ろうとしていたわけで……だが次から来る連中は、より面倒な手も取ってきそうだ。
「『騎士王』は……いや、冒険世界は俺をどうするつもりだ? さすがに世界そのものが敵だといろいろ面倒なんだが」
「面倒、か……私個人としては、『生者』を支援するつもりだ。だが、前回のような大々的な干渉はできないだろう。あまり無茶はするな、そう上からも指示されている」
「そう、ですか……逆に、私の行動に関して警告は? たとえば、抗うことそのものを禁じる……といった内容の」
「ふっ、それも無いぞ。ただし、元より禁じられているような行動は控えた方が良いだろうな」
核兵器を使うようなことは当然アウトだとしても、襲ってきた相手を迎撃したとして怒られることは無いと……うん、少しだけ希望が見えてきたよ。
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