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DIY、刺客に抗う

生産世界初訪 その28

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 世界を絵の通りに歪め、改変する。
 魔力によって引き起こされる改変事象──魔導……の真似事、それが界画術の正体。

 それに対抗すべく、俺が発動したのは友人の『プログレス:メモリーメイカー』。
 イマジネーションの強さが勝つか、俺のこの世界での経験が勝つか……そんな戦いだ。

「──『集う英傑たち』」

「完成だ──題名は『異形の行軍』」

 俺が生み出したのは、かつて行われた強者たちの宴──その残影。
 完全な再現は無理と判断し、影絵のように切り取ることでどうにか生み出した。

 その一つ一つが一騎当千の強者たち、対抗するように『万象戯画』が生み出した異形の怪物たちと戦っていく。

 結果は──互角よりややこちらが上。
 ほとんどの影は怪物とほぼ同じぐらいの強さなのだが、抜きんでて無双している影がいくつかあったため。

 記憶の中に焼き付いている存在ほど、その強度が高くなっている。
 つまり、俺が生み出した事象を覚えていればいるほど強くなるのだ。

「英傑……つまりは英雄譚。嗚呼、だがいつだって彼らの終わりは定められている。逃れられぬ因果の名は死──夜と共に訪れ、彼らの魂を攫っていくだろう」

 局地的に世界が暗くなり、その暗がりが影に同化し──強制的に消し去っていく。
 夜を死という概念に同期、触れた影を使えなくしているようだ。

 俺はそんな闇の中を駆け抜ける。
 影響下にある場所を『SEBAS』が影たちの消えた部分から探りだし、最適ルートを俺に指し示す。

「──『凪の一時』」

「魔力に干渉? だが、それじゃあ時間稼ぎにしかならないよ?」

「分かっています。だから──『戦乙女たちの輪舞』」

「ッ!?」

 思い返すはヴァルハラの戦乙女たち。
 彼女たちとの戦闘を、そしてアインヒルドの無双っぷりを思い出して投影。

 多くの戦乙女たちは影として投影されたのだが、アインヒルドだけは輪郭がうっすらとぼやけつつも本人の姿で現れた。

 影の戦乙女たちが多様な武器を手に取り、『万象戯画』へと襲い掛かる。
 すぐに描かれたのは身を護る結界、それにより影の攻撃は防ぎ切った。

「くっ……!」

「アインヒルド、お願いします」

 本人が居たら間違いなく怒るであろう指示が、結界を容赦なく破壊する。
 彼女はあくまでお祭りの出来事とは言え、神にすら打ち勝った稀有な戦乙女。

 その記憶から抽出された彼女は、いわば格上殺しの存在。
 記憶の中で強くその光景を美化すると、どうやら性能を高めることができるらしい。

 ……まあ、それでも本人に及ぶことはめったに無いのだが。
 それでも彼女の在りし姿は、凄まじい勢いで『万象戯画』に武器を振るうのだった。

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