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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その24
しおりを挟む一人の芸術家が絵を描き上げた。
すると絵そのものが光り──戦場を文字通り、大きく描き換えた。
「こ、れは……」
「君はたしか、ボクたちの世界の技術を得ようとしていたね。紹介しよう、これがボクの我流技術『界画術』さ」
塗り替えられた世界において、人々は魔物相手に有利な戦いを繰り広げている。
一方的な蹂躙、魔物たちは成す術もなく逃げ惑っていた。
先ほどまで居たはずの高位階の魔物も、小さくなっていたり体を拘束されていたり。
まるで、初めからそうであったかのように世界が動いている。
「……これは、凄いですね」
「凄い? 恐ろしい、理不尽だ……君たちの場合はチートだと言う者が多かったかな? その程度の言葉で、ボクの芸術を評価しないでほしいものだよ」
「それで、私にこれを見せた理由は?」
「別に。ただ、どうせなら最後に土産でもと思ってね。上からのお達しなんだ、そろそろ時間にしてほしいと」
上、それが意味する言葉はただ一つ。
同じような言葉を、冒険世界最高の存在である『騎士王』が口にしていたことがある。
「……強制追放、ですか?」
「いや、それができないからこそ、自主的に帰ってほしいようだね。ふむ、君は……ダメだ、まったく浮かばない」
「えっと……何がですか?」
「君を題材に絵が描けない、それだけさ。休人自体は描いたことがあるから、できなくは無いのだろうが……ハァ、実につまらない」
いきなりつまらない認定をされた俺は、どう反応すればよいのやら。
だが、世界規模の改変を使えるのだ、個人に絞ればその影響はとんでもないはず。
そう考えてみれば、理由はともかく俺を主題にした絵が描けないのは救いだ。
冒険世界に飛ばされる絵、なんて描かれたらその時点でアウトだったはず。
「仕方ない、これも仕事だ……より良い絵を描くためにも、割り切ろうじゃないか」
「……芸術家というものは、そういった事柄にいっさい妥協を許さないモノだと思っていました」
「たしかに、そういう気質の人も多いみたいだね。でも、それだけじゃ見えてこないモノもある。彼らは自分の道だけを見ていて、ボクは周りにも目を向けている……それだけの違いじゃないかな?」
「そうでしたか。では、私が成すべきことも決まりました──申し訳ありませんが、まだやるべきことがありますので」
古代技術の情報だってそうだが、職業云々などもいろいろ確かめておきたい。
だがこのままでは、この芸術家に強制追放させられてしまう。
「そうだ、名乗りを──冒険世界『超越者』が末端、『生者』と申します」
「生産世界『星宝級職人』、『万象戯画』。短い間だが、覚えておいて損は無いよ」
俺がやらなければならないこと、それはどうすれば強制追放をさせられないか。
ただ勝つだけではダメだ、法則を読み取り対抗策を見出さねば。
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