虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
1,993 / 2,828
DIY、刺客に抗う

生産世界初訪 その20

しおりを挟む


 情報を対価に、再び自由を勝ち得た。
 やはり遺失大陸──あるいは幻想世界の情報は欠けているようで……未知の場所に存在する、未知の知識を彼らは求める。

 その対価こそ、俺の行動制限の解除。
 ……生産世界に招いたのは彼ら、それぐらいのことはできるのだろう。

「さて、さっそく練習をしないと」

 場所は再び、魔材ギルドの練習場。
 ドローンと結界を複数展開することで、人が構築した監視網への対策。

「そして──『星域』を限定構築」

 極めつけはアイスプル世界の法則をほんの少しだけ持ち込める、『星域』の起動。
 これにより、今この場所は生産世界であると同時にアイスプルにもなった。

「『SEBAS』、頼む」

《畏まりました。仕掛けられた魔道具へアクセス、情報阻害・認識錯乱・自動修復停止を実行。部屋の隔離・以降のアクセスを封鎖することで無効化します》

 俺にはできないこの部屋に仕掛けられた情報収集の魔道具を、すべて一時的に使えない状態にしてもらった。

 また、部屋自体も外部から入ってこれないようにして、俺がこれから行うことをバレないようにしておく。

《旦那様、準備が整いました》

「よしよし、それじゃあ試してみよう。ここでやった方が成功率は高いみたいだしな」

 生産世界で生まれた技術は、その場所でこそ本来真価を発揮する。
 だが、他の世界に逸れは無い……ということで、まずは再現を成功する必要があった、

 一度やってしまえば、世界の理という補正が無かろうと何とかなる。
 補正はあくまで補正、できるという事実さえ確定すればどの世界でも使えるはずだ。

「まずは、『虚工術』だな……それじゃあ、思いつく限りの方法をリストアップだ」

《畏まりました──視界へ投影します》

 俺の指示を受け、『SEBAS』が投影してくれたのは──工匠ギルドの総長が見せてくれた『虚工術』の映像と、それを解析して考案された再現方法。

 方法は一つではない、『SEBAS』が一つずつ演算で成功率を表示してくれたモノの中から試すモノを選んでいく。

「魔力具現化と加工だしな……俺でも浮かんだのはこれだ──“千変宝珠”」

 浮かび上がる魔力の球体。
 俺の意思に従い、武器の形を取るその姿はまさに『虚工術』。

 だが、これはあくまでも魔術。
 製作者である『騎士王』の複雑な術式は大変高度なモノで、手を加えることはほとんどできない。

 外部から加工スキルで干渉しようものならば、あっさりと術式が崩れさってしまう。
 生産者ではない彼女が創ったのだから、まあ仕方がない。

「となると、こっちかな……よし、一番のヤツを試してみるぞ!」

 それからしばらく、ギルド総長たちから得た技術を学んでいき──中断させられた。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...