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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その19
しおりを挟む三人のギルド総長から、それぞれが秘匿する技術を見せてもらった。
一度切り、かつ説明は無しというシビアなものだが……『SEBAS』が居るからな。
「──皆さん、ご協力誠に感謝いたします。改めて、お礼を申し上げます」
「なぁに、いいってことよ。困ったときはお互い様ってな」
『…………』
唯一、この場で何もしていない魔材ギルドの返事に対する冷たい視線。
実際、俺も特典の実験を兼ねて剥闘術らしきものを使っている光景しか見ていない。
代わりに指南書的なものを読ませてもらっているので、他の技術に比べて理解度合いは上ではあるけども……何だろう、胸を張れるほどでは無いと思うんだよな。
「ま、まあとにかく、これで皆さんの目的は果たせた、ということで──」
「待ちな。アンタ、まだ隠し事があるんじゃないかい?」
「……人間、一つや二つの人に教えられない隠し事があるものでは?」
「だろうね。だが、アンタのそれは人に教えられるが出し渋っているそれさね。さぁ、言いたいことがあるんじゃないかい?」
積極的に問うてくる工匠ギルドの総長。
周りも何も言ってこない辺り、これまで同様反論は無く同じ意見ということ。
チラリと魔材ギルドの総長に目を向けるのだが……残念、目を逸らしやがった。
どうしたものか、と[インベントリ]内を探り……新規で入っていた物を取り出す。
「こちらは、あまり世に広めない方が良いと思っていましたが……皆さんの総意というのであれば、仕方ありません。私が受けた恩は返しきれるものではありませんし、皆さんにお渡しします」
この状況を知ってか予見してか、追加で資料を作ってくれていた『SEBAS』。
題名は『文献:遺失大陸の特殊技術について』、つまり幻想世界に関する情報だ。
「い、遺失大陸だって!?」
「冒険世界には、それらに関する情報がまだ残されておりましたので」
嘘は言っていない。
レムリアやパシフィスなど、鍵の少女たちは冒険世界に連なる世界に居たのだから。
「あくまでも、文献を復元した物ですので、一部の情報は抜けています。ですが、皆さんに未知の情報を与えてくれることだけは保証しましょう……あっ、これはあくまで複写した物ですので、四人全員にお渡ししますよ」
「……ずいぶんと、手際がいいね」
「いえ、ご覧の通り──事前に複写はそれ以上に進めておきましたので」
本や書類に関する職業には、そういう系の能力も付いている。
なので大して怪しまれることなく、彼らは資料を受け取り目を通し始めた。
それからしばらく、何度か質問を受けてはそれに答えていく。
──俺が自由の身となったのは、翌日のことである。
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