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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その17
しおりを挟む魔材ギルドの総長は、ペンダント型に加工された特典を他のギルド総長に自慢した。
彼らもまた、凄腕の職人なのでその価値を真に理解している。
単に特典を加工するだけでも苦労するが、性能を落とすことなく……逆に追加の性能まで加えたうえで、装飾具という魔材ギルドの総長の邪魔にならない形にしてあるからだ。
元より装身具としてドロップしたならともかく、今回加工した[ドライガーウッズ]の種はそれなりに大きく、そのまま使うにもある程度手間の掛かるものだった。
それ自体は彼らも把握していただろう。
しかしそれがコンパクトになり、かつ条件さえ満たせばいつでも簡単に使える代物になれば……うん、かなりの技術は必要だ。
ずっと見ていれば、何か暴かれることもあるだろうが……魔材ギルドの総長は、彼らがじっと見ている途中でそれを遮り、ペンダントを再び胸元に仕舞った。
──そして、さらに観察を……そのまま解析まで進ませたかった他のギルド総長に対して、あることを提案する。
「さて、ここからは俺……そして『生者』も納得済みの提案だ。お前らの秘匿技術、その提出で情報をくれるらしいぞ」
「……本気で言ってるのかい?」
「ええ、理解しておりますよ──皆さんが、拒否をすることは。私も生産者の端くれ、理解しておりますよ……だからこそ、異なる提案を私は行います。こちらが提示するものは変わらず情報、そして特典の加工です」
「ふーん、つまり情報をくれるだけでなくその技術について、懇切丁寧までしてくれるということかい?」
勝手に付け加えているようだが、ここで否定してもどうしようもない。
相手がそれで納得するのであれば、何も言わないべきだ──どうせやらないし。
「ええ。勝負内容は生産……では、意味がありませんね。秘匿技術を、この身で受けさせていただきたく。複数あるならば、一つで構いません。結果に関わらず、情報提供は確約いたしましょう」
このタイミングで、[インベントリ]経由で数冊の資料を取り出す。
表題はそれぞれ『星鉱の加工・応用法』、『世界樹の可能性』、『■■世界開拓録』。
加工、栽培、開拓ギルドの総長たちにちょうどいいだろう……なお、中身については関与しておらず、『SEBAS』が今回のために即席で作ってくれたのでよく知らない。
「私が納得のいくまで、あるいは他のギルド総長の方々が総意で終わりというまで……が条件としましょうか。終了後に、それぞれの冊子を皆さんにお渡します。ここまでで、何か意見はございますか?」
「では、一つ──貴方の持つそれ、そこに記された内容が真実であるという証拠は? これまでは黙って聞いていましたが……世界樹の名を偽りの文書に記しているのであれば、見過ごすわけにはいきません」
それは栽培ギルドの総長から意見。
見た目的に森人なのだろうが、元より想定されていた意見だ……たぶん、里長たちも同じような状況なら言ってきただろうし。
「神に誓って、と言っても信憑性は無いかもしれませんね……では、こちらに誓うとしましょうか」
「! その指輪……!」
「ええ、創造神様が長を務める、失名神話の神々が一柱、精霊神様より賜りました指輪です。偉大なる神々、そして宿りし精霊に誓いましょう。記された内容に嘘偽りの類はいっさい存在しないと」
「……分かりました」
森人たちは基本的に、精霊に対する信仰がかなり深い。
そんな俺の見せた精霊の指輪は、彼らからすれば御神体そのもの。
それに賭けて誓うと言えば、もうそれは確定……逆に嘘なら死んでも償えないような大罪を意味する。
内容は知らないが、『SEBAS』を俺は信じている……その覚悟だけは分かったようで、栽培ギルドの総長は、何も言わず再び沈黙を選んだ。
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