虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
18 / 2,810
DIY、滅んだ世界に立つ

指標

しおりを挟む

「さて、簡単な木工はできるようになってきたな」

 DIYらしく、机や棚などの物は作成できるようになった……けど、

「置く家が無いからな~」

 無人の荒野に家など当然存在せず、作られた物は全て外に置かれている。
 ……寂しいってレベルじゃないよ。

「家を建てる……うん、絶対無理だ」

 釘無しで建てられる建物もあるし、百パーセント不可能とまでは言わない。
 だけど、ネットという知識を借りても、ただのサラリーマンに住居を建てるなんて所業は難しい。

「テントなら、まだどうにかなりそうだな」

 しかし、特に必要を感じない。
 この世界の環境は一定に固定され、寒さや熱さを感じることも無く、雨も風も雪も降らない。
 故に、外で長時間ボーッとしていようとも何の問題にもならないしな。

「じゃあ、俺は何を作ればいいんだ?」

 ファンタジーらしく武具?
 いや、ここで使う必要も無いし、そもそも武具を俺は使えるのか?

 武具を正しく使うにはスキルが必要らしいが、それを手に入れられる気がしない。
 ……というよりもだ、俺は武具を装備できるのか?

 拓真に聞いた情報に、重量制限というものがあった。
 その名の通り、重量に制限があるんだ──武具を装備するために。

 必要以上のSTRを持たないプレイヤーがその武具を握ると、バリアに弾かれるようになっているとのことだ。

 そして、俺の基本STR値は1……うん、ほとんど無理そうだな。
 なんでも、初心者用の武器は誰でも装備可能とのことなので、俺でも使えるだろう……それが、この場にあるならな。

 自分で作れ?
 そんな軽さを超越してそうな特殊な武器、俺に作れるか!
 百歩譲っても、自分が装備できない武器しか無理だわ!

「なら、服か?」

 今の俺が着ているのは、『休人の服』と呼ばれる代物だ。
 全プレイヤーの初期装備で、耐久度∞かつ汚れが勝手に綺麗になるという便利過ぎる装備だ。

 ……うん、これも作る必要ないよな。
 俺は服にそれ以上の性能を求めてないし、それ以上の物は作れないと思っている。
 結論、これもいらないな。

「それじゃあ……じゃあ……無いじゃん!」

 俺が必要としているものなんてない!
 衣食住……は無理だけど、それでもこの世界そのものが快適じゃん!
 この世界ならお腹は空かないし、住処もいらない。

 なら……俺に必要な物っていったい何なのだろう?

「必要な物、必要な物……暇潰しの物だな」

 うん、他には要らないな。
 俺がこの世界で楽しむためのナニカ、これからはそれを目的にいろいろ作っていこう。

「じゃあ、手始めに家でも建てるか!」

 時間は無限に存在するし、この世界でならそんな物でもDIYできるかも!
 先程の自分の考えを真っ先に否定したが、ランダムを愛するような男に倫理や道徳を問うんじゃない。

 ……:DIY:、家を建てる。
 何のパロにもならないな。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】聖女が性格良いと誰が決めたの?

仲村 嘉高
ファンタジー
子供の頃から、出来の良い姉と可愛い妹ばかりを優遇していた両親。 そしてそれを当たり前だと、主人公を蔑んでいた姉と妹。 「出来の悪い妹で恥ずかしい」 「姉だと知られたくないから、外では声を掛けないで」 そう言ってましたよね? ある日、聖王国に神のお告げがあった。 この世界のどこかに聖女が誕生していたと。 「うちの娘のどちらかに違いない」 喜ぶ両親と姉妹。 しかし教会へ行くと、両親や姉妹の予想と違い、聖女だと選ばれたのは「出来損ない」の次女で……。 因果応報なお話(笑) 今回は、一人称です。

処理中です...