虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、滅んだ世界に立つ

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「さて、簡単な木工はできるようになってきたな」

 DIYらしく、机や棚などの物は作成できるようになった……けど、

「置く家が無いからな~」

 無人の荒野に家など当然存在せず、作られた物は全て外に置かれている。
 ……寂しいってレベルじゃないよ。

「家を建てる……うん、絶対無理だ」

 釘無しで建てられる建物もあるし、百パーセント不可能とまでは言わない。
 だけど、ネットという知識を借りても、ただのサラリーマンに住居を建てるなんて所業は難しい。

「テントなら、まだどうにかなりそうだな」

 しかし、特に必要を感じない。
 この世界の環境は一定に固定され、寒さや熱さを感じることも無く、雨も風も雪も降らない。
 故に、外で長時間ボーッとしていようとも何の問題にもならないしな。

「じゃあ、俺は何を作ればいいんだ?」

 ファンタジーらしく武具?
 いや、ここで使う必要も無いし、そもそも武具を俺は使えるのか?

 武具を正しく使うにはスキルが必要らしいが、それを手に入れられる気がしない。
 ……というよりもだ、俺は武具を装備できるのか?

 拓真に聞いた情報に、重量制限というものがあった。
 その名の通り、重量に制限があるんだ──武具を装備するために。

 必要以上のSTRを持たないプレイヤーがその武具を握ると、バリアに弾かれるようになっているとのことだ。

 そして、俺の基本STR値は1……うん、ほとんど無理そうだな。
 なんでも、初心者用の武器は誰でも装備可能とのことなので、俺でも使えるだろう……それが、この場にあるならな。

 自分で作れ?
 そんな軽さを超越してそうな特殊な武器、俺に作れるか!
 百歩譲っても、自分が装備できない武器しか無理だわ!

「なら、服か?」

 今の俺が着ているのは、『休人の服』と呼ばれる代物だ。
 全プレイヤーの初期装備で、耐久度∞かつ汚れが勝手に綺麗になるという便利過ぎる装備だ。

 ……うん、これも作る必要ないよな。
 俺は服にそれ以上の性能を求めてないし、それ以上の物は作れないと思っている。
 結論、これもいらないな。

「それじゃあ……じゃあ……無いじゃん!」

 俺が必要としているものなんてない!
 衣食住……は無理だけど、それでもこの世界そのものが快適じゃん!
 この世界ならお腹は空かないし、住処もいらない。

 なら……俺に必要な物っていったい何なのだろう?

「必要な物、必要な物……暇潰しの物だな」

 うん、他には要らないな。
 俺がこの世界で楽しむためのナニカ、これからはそれを目的にいろいろ作っていこう。

「じゃあ、手始めに家でも建てるか!」

 時間は無限に存在するし、この世界でならそんな物でもDIYできるかも!
 先程の自分の考えを真っ先に否定したが、ランダムを愛するような男に倫理や道徳を問うんじゃない。

 ……:DIY:、家を建てる。
 何のパロにもならないな。

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