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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その10
しおりを挟む特典から作ったアイテムを、依頼者である魔材ギルドの総長に試してもらった。
俺の……というか、:DIY:の補助を受けた生産は、満足いただけたようだ。
「…………それで、この後の話だが。要求では、行動の自由を求めていたな」
「ええ、誰も直接干渉しない、そんな状態にしてもらいたいのです。ああ、一つだけ。ある程度行動を自由にできる証のようなモノがあると助かるのですが……」
「ああ、それぐらいならば構わない。そうだな、ギルドカードを貸してもらえるか? その旨を記しておこう」
総長の提案を受け入れ、ギルドカードを俺は渡した。
その場で何か施し、自身のカードを重ねると微量の光を出す。
「これで良し。少なくとも、各総本部の許可が必要なことを求めない限り、行動の自由があるはずだ……くれぐれも、警告を受けるような行動はしないでくれよ」
「ええ、承知しております…………っと、そうでした。そうなれば、私たちの世界では強者──特に『超越者』と揉めることになってしまうのですが。こちらの世界の場合、どのような実力者が居られるのでしょうか?」
「…………言わないとダメか?」
「ええ、ぜひとも」
うん、総長も分かっているのだろう。
口にしたら間違いなく、俺が絡むしその際に自分の肩書を告げることを……すまない、だが知っておきたいし。
◆ □ ◆ □ ◆
──『星宝級職人』。
国宝の星版という、ずいぶんとビックな名前が生産世界の強者だった。
ただ、『超越者』と違って直接的な戦闘力は無い……冒険世界も同じはずなんだがな。
ちなみに魔導世界も、いちおうそういった形で魔技で長けていれば選ばれる。
……ただ魔技の場合、基本的にどんなものでも伸ばせば攻撃性を得られるからな。
その数はまだ新しい星だからか、そこまで多くないようだが……冒険世界が異常なだけなのだろう。
《冒険世界はその存在の長さ、そして何より特性から逸脱した存在が多く生まれることができるのでしょう》
「『騎士王』を筆頭に、いろいろと居るわけだしな……特性ってあれか? たしか、何も補正が無い代わりに、どんなものでもある程度受け入れるってヤツ」
《ただ、無限では無いでしょう。【魔王】の権能もまた、一種の浄化装置のような意味があったのかもしれません》
「……ああ、長命な存在が持っていたらいつまでも持っているわけだしな。奪って、その後【魔王】が死ねば消えるか…………今のイレギュラーな【魔王】を除けば」
アイスプルを運営しているからこそ、俺たち『超越者』の異常さが分かる。
その権能一つひとつが超常的なのに、他の世界に比べて圧倒的に数が多い。
いろいろと謎が多い冒険世界。
それを調べるのもまた、休人たちに課せられた楽しみの一つなのかもしれないな。
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