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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その08
しおりを挟む結界を展開した、魔材ギルドの生産部屋。
外部からハッキングが仕掛けられているのだが、それに気づかぬふりをして早急に依頼された品を創らねばならない。
「:DIY:を使うのが、やっぱり一番か。こればかりは、どうしても無理か……補助は必須だな」
さすがに生産世界の中で、:DIY:を思いっ切り使うわけにはいかなかった。
創造神様の権能、その一部を借りた能力は生産世界からしたら殺してでも奪うものだ。
なので、今回は生産行為に:DIY:は使わず、あくまで生産に必要な情報を取るための補助として使う。
代わりに出番となるのは、【生産勇者】と『巧天』特殊生産部門で作った装備一式。
そして、手作りの神代魔道具『星域』をメインに生産を行う。
「装備で必要なエネルギーは確保、続いて錬成陣の準備だな」
すでに[ドラグライズ]──『騎士王』が持ち込んだ特典素材で、ある程度経験は積めているので失敗はしない。
描いた陣の上に[ドライガーウッズ]の特典素材である種を置き、また陣を描く。
前回は完全遺骸だったが、今回は種しか無いのでまたやり方を変えなければならない。
あちらは能力を一つに絞るため、概念収束などをしたが、今回はその能力も一つのみ。
概念収束をしてしまうと、むしろ力から漏れた部分が無駄になってしまう。
「……となると、力をそのまま移し替える器が必要になるのか。ただ、依頼主のオーダーにも合わせる必要がある」
武器を注文されたのだが、彼の戦闘スタイルは何でもだ。
そして、それに合わせてさまざまな武器が展開できるようにしたいと仰せられている。
「『SEBAS』、どうしたらいい?」
《“千変宝珠”の術式を使いましょう。種は加工し、宝珠……いえ、装飾具として利用するのが最適かと》
「まあ、宝珠をいちいち持ち歩くのは面倒だよな……ましてや近接もやる人だし。しかし“千変宝珠”か……術式が露呈するのは避けたいんだが、仕方ないか」
《秘匿する方法であればいくつかございますので、そちらを提示いたします》
目の前に浮かぶ無数の方法とその過程。
補助に入っていた:DIY:がそれを読み込むと、さらに詳細な情報を俺にくれる。
……できなくはない、むしろより性能を上げることもできそうだ。
すぐに錬成陣に手を加え、指示された内容が反映されるようにする。
「あとは、“千変宝珠”の術式を組み込んでおけば……よし、できた。器には……そうだな、これを使っておこう」
種とは別に、隣に錬成陣を追加。
その中央に鎮座させた、ペンダント型の魔道具こそが器となる。
「それじゃあ、やるか──『概念合成』!」
通常の『合成』は、それぞれの性質を重ね合わせるものだ。
ただし、相性の悪いモノを重ねるとそれぞれのいいところを劣化させてしまう。
今回の『概念合成』の場合、5:5になる比率も調整して重ねることができる。
どちらを優位にするかを選べれば、劣化も起きず一方の性能を高めることも可能だ。
だからこそ、それは出来上がった。
装飾具の中央、何も埋め込まれていなかった場所に種だった物が鎮座する。
「銘は『総竜虎武[ドライガーウッズ]』、うん……いい性能だ」
製作者の特権で開示されたアイテムの全性能を見て、満足のいく出来なのかを確認。
それを見た俺は──あることをした後、結界を解除するのだった。
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