1,980 / 2,721
DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その07
しおりを挟む依頼主が俺に加工を求めたのは、種型の特典だった。
自分のスタイルに合わせ、戦闘用にしてほしいとのこと。
なお、アイテム名は──『双竜虎樹圧縮遺骸[ドライガーウッズ]』。
種という、小さなアイテムになることでリソースを確保した形になっている。
戦闘力などもそのほとんどがカット、あくまでも生産世界というモノづくりの世界に合わせた能力なのだから、依頼主の注文が割と無理難題なことがよく分かった。
「それでも、やらせていただきますよ。私にとって、それがこちらの世界での初仕事になるわけですしね」
「──っと、着いたぞ。ここで、お前さんにはアイテムを作ってもらいたい」
案内されたのは、生産設備が整えられた広い施設。
そこに人は居ない──どうやら、この場所は特別に用意された場所のようだ。
冒険世界の生産ギルドも、選ばれた者だけが使える施設があった。
ここは魔材ギルドの総本部なのだから、そういった施設があってもおかしくは無い。
「生産世界でも最新式の設備が揃っている。使い方が分からないなら、ギルドカードを翳してくれれば情報が出る。他に何か、質問はあるか?」
「そう、ですね……ここの情報は、どれくらい外に?」
「っ、答えづらい質問をしやがって……悪いが保証はな。どこも情報収集は欠かさずやっているわけだな、ただそのやり方はギルドごとに違ってな……それはまだ暴けていない、俺が言えるのはここまでだ」
情報、と言えば冒険世界の【情報王】をやはり思い出す。
彼の情報収集能力は、俺が知り得る中でも一、二を争うレベルだからな。
なお、総長の言い方的に魔材ギルドとしても情報の収集をしっかり行っている。
つまり、生産世界全体で、技術の情報を集めているというわけだな。
建前と実態はまた別、そう言っている。
そして、どれだけ隠していてもそれが漏れない保証が無いとも。
「こっちとしても、条件は呑んでいるつもりだ。最大限のフォローはさせてもらうが、情報のいっさいを漏らさないってのはやっぱり難しいと思うぞ」
「ええ、分かっています。なので、最低限の情報は開示しますよ。もちろん、加工に使う技術は私が保有しているものの中でも最高峰ですのでご安心を。あれですね──やれるものならやってみろ、です」
「! ……こいつは、結界か」
『そういうことです。では、さっそく準備を始めますのでこれにて。総長はどうか、ごゆるりとお待ちください』
こっそり『SEBAS』が構築してくれていた、情報を秘匿するための結界。
それを暴くことができなければ、俺から情報のいっさいは得られない。
実際、展開してから干渉がされているのでその辺はやはり穴があった模様。
……さて、さすがに無限の時間があるとバレるだろうし、作業を始めるとしますか。
0
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる