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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その06
しおりを挟むかつて、冒険世界に居たという魔材ギルドの総長。
彼の依頼は、こちらの世界で自らが手に入れた特典を加工してもらうことだった。
「──ほれ、これがその特典だ。これは小さいからな、常に持ち歩いている」
「何ともまあ、危ないことを……鑑定してもよろしいですか?」
ギルド総長が俺に投げてきたのは、やや大きめの──種だった。
ただよく見てみると、クルミみたいな殻に竜と虎らしきデザインが施されている。
「ああ、構わんとも」
「…………『SEBAS』」
鑑定をする、つまりは魔力を当てても大丈夫かという確認だ。
その了承を得た後、俺がほぼ確実に無意味な鑑定をし、『SEBAS』が解析を行う。
レベル999特典である鑑定情報拡張は、どちらかというと過去の情報を見れるだけ。
そしてその中に、固有種に関する情報は多くは無く……やはり情報は得られなかった。
だが、『SEBAS』の行っている解析は一味違う。
アイスプル世界で行われたさまざまな実験データから、情報を照合しているのだ。
ずっと黙っているのも怪しいので、俺は自分の鑑定で分かった情報を駆使して話で時間稼ぎをすることに。
「『双竜虎樹[ドライガーウッズ]』、ですか。これはいったい、どのような出会いをされたのですか?」
「ああ、未開拓領域を休人たちといっしょに探していたらな、樹木に擬態していたソイツが現れたんだ。で、いろいろあって俺が特典の主になった」
「…………いろいろ、ですか」
「ああ、いろいろだな」
それ以上は語らないようだ。
だがしかし、ここで話を止められても困るので……話題をどうにか捻り出していこう。
「私はこれを、加工すれば良いのですか?」
「そうなるな。そのまま植えれば、木製の竜と虎の素材が取れるようになるみたいだが、あんまり興味無くてな。いっそ、武器にしてもらった方がイイんだよ」
「なるほど……ご指定の武器種は?」
「見ての通りさ。剣でも槍でも、矢だっていい。その場にある物何でも使う、そういうやり方で俺は今までもやってきた」
何も武器を飾らず、所持していなかった総長のスタイルはそういうものらしい。
達人は筆を選ばない、なんて言葉を体現しているようだ。
しかしまあ、それってつまり達人が相応の物を使えばそれ以上の結果が出るというわけで……なるほど、やり甲斐はありそうだな。
この後もある程度、武器や戦闘スタイルに関する質問を行った。
総長もこの後の生産に関わることなので、それなりに答えてくれる。
実際には、『SEBAS』の解析待ちでしかない時間だったが、ある程度俺の方でも構想を練り上げることはできた──解析が終わる報告が聞けたのは、その後のことだ。
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