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DIY、シンコウに備える
魔王防衛策 その19
しおりを挟む他者の力を簒奪し、複製する【魔王】。
そんな彼の『プログレス』は、職業能力が対応していない、『プログレス』を模倣する能力を持つ『コピーマスター』だった。
なお、発動にはいくつかの条件があるのだが……今回直接出向いたことで、それも満たしているだろう。
本来であれば、ストックできる数に制限があるという問題すらも、相手の存在ごと複写する種族性質によっていつでも切り替えることができてしまう……うん、チートだよ。
「──さぁ、迎撃は上手くいきました! これは私からの奢りです、じゃんじゃん飲んで食べていってください!」
「我が友からの厚意を無碍にはできぬ。皆の物、今夜は無礼講だ! 思う存分酔いしれるが良い!」
『うぉおおおおおお!!』
そんなこんなで、魔物や魔族たちは大盛り上がりで宴を楽しんでいる。
……なお、[掲示板]によると休人たちは残念ムードのお通夜で反省会らしい。
勝者と敗者でやはり差は生じるものか。
休人でありながら、相対した魔族たちに協力した俺はある意味裏切り者だろう……全然気にしてないけど。
俺が【魔王】とつるんでいることは、すでに『騎士王』だって知っていること。
にも拘わらず、何のお咎めも未だに無いのはそれ自体に問題が無いからだ。
無論、【魔王】が世界を滅ぼすと宣言して実際に行動を起こせば制裁は下るだろう。
ゆえにこの世界において、【魔王】は何度か『騎士王』に殺されている。
「『生者』よ、お前も作っているばかりでなく共に盛り上がってはどうだ?」
「……いえ、味見やらですでに何度か食していまして。あまり食事は──」
「ふむ、では乾杯ならばどうだ? それぐらいであれば、できなくもあるまい」
「…………そう、ですね。では、いただくとしましょう」
即座に[インベントリ]からグラスを取り出し、近くのジャグからお酒を注ぐ。
……この際、グラスが光ったのを【魔王】は見逃さなかった。
「それは魔道具か?」
「ええ、はい。お酒の味を味わいつつ、アルコール分……酔いの成分を抑えるモノです。あまり、長くは飲めない体質でして……このような形で申し訳ありません」
「いや、勧めたのは我だ。他ならぬ我が友がどのように振る舞おうと、我は気にせぬよ。それよりも──乾杯だ」
「それは……ありがとうございます。では、乾杯」
俺はグラスを下にしようとするが、物凄い動きでそれを拒まれる。
水面はいっさい動いていない、そんな凄技に負けてお互いのグラスを水平にぶつけた。
……それからしばらくは、何事も無く宴の時間が過ぎていった──問題が起きたのは、宴を終えようとした時だ。
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