虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

魔王防衛策 その11

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 ついに魔族たちが動き出した。
 浜辺に拠点を作る休人たちの下へ、俺の作り上げたアイテムを纏い急行する。

 この際、【魔王】は命令を下した。
 職業能力によって、命令を受けた魔族たちは強化される……今まで魔族を追い返した経験は、無意味に等しいわけだな。

「さて、どうなりますかね」

「……完全勝利は不可能であろう。向こうは死のうと蘇る不死の軍団、対してこちらは有限だ。そのうえ、奴らには『生者』の息子が居る。これが一番の問題だな」

「ええ、そうなりますね」

「…………とても嬉しそうだな」

 そりゃあ、もちろん。
 いろいろと裏事情はあるにせよ、敵の親玉が自分の息子を最大限に警戒している……というシチュエーションは何とも燃える!

 俺は友と呼ばれているし、ルリなんかはもう異次元の存在扱いだぞ。
 そりゃあ来て数日で宗教を掌握し、現人神に辿り着く存在を普通とは言わないわな。

 さて、そうこうしている間に浜辺では魔物の襲撃が始まった。
 事前に探知──はできなかったようで、奇襲に驚いている様子だ。

「どうやら、『プログレス』でも感知はできなかったようですね」

「ふむ、どうやら未来を予知する力は持ち合わせていなかったようだな……ならば、採れる策も増えるか」

 魔物たちに与えた食べ物の中には、一時的に五感や殺気などで自らを感じ取らせない特殊な魔法薬を仕込んであった。

 問題は、そういった感覚とは違う第六感や未来を視るという厄介な能力だったが……どうやらその使い手は居なかったらしい。

 俺も良く使っている『ヴィジョンアイ』という『プログレス』は、未来視が可能だ。
 そしてそれは休人の『プログレス』で、もしやと疑っていた。

 さすがに時間が短すぎて、タクマから情報収集をする暇は無かったからな。
 だが、賭けに勝った魔物たちは、見事与えられた使命を果たしているようだ。

「とはいえ、奇襲も時間が経てば対応されてしまいますね。そうなると地力の問題、そうなってしまうと……」

「やはり、魔物だけではダメか」

「それでも一割ほどの被害が出ていますね。戦線復帰には時間が掛かるでしょう」

 負傷しても、この世界ではポーションや回復魔法があるので復帰は割と早い。
 だがそれでも、アイテムや魔力は消費するし、回復にはラグが生まれてしまう。

 魔物が攻撃の勢いを弱めると、休人たちも回復を済ませようとする。
 ──そんな彼らの後ろ、海面から魔族たちが姿を現す。

「さて、第二ラウンドです」

 自分たちが通って来たからこそ、その警戒は緩まっている。
 そんな盲点を突いて、魔族たちが猛威を振るうのだった。

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