虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベントその後 その07

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 試乗ゲーム、ザ・ロードの最高額アイテムはシミュレーターだった。
 作り上げた品が正常に機能するのか、誰でも把握可能になるわけだな。

 まあ、【整備士】などの職業スキルにはそれらを確認する能力もあるのだが。
 だが、わざわざ育てようという休人も少ないだろうし、価値はしっかりあるんだよな。

「…………そして、カードバトラーだな」

 残された、というか最後まで残しておいたコラボイベント。
 EHOの存在がカードとして出ていた、だからこそ何かあると思ってのことだ。

「リストを確認…………うん、まず強制的な交換は無いみたいだな。そして、交換できる物は──あー、ちょっとヤバそうだな」

 ある意味、ザ・ロードの交換アイテムと同じような代物。
 カードリアライザー、イベント中に手に入れたカードを具現化できるというものだ。

 そして、超高額の品は具現化したカードで戦うためのフィールド。
 創作物でよくある、いろいろとカッコイイ演出が発生する装置だった。

「……なあ、『SEBAS』。これで具現化したカードって、呼び出した本人に何らかの影響を及ぼすのかな?」

《本来ならばありえないでしょう…………しかし、『騎士王』や【魔王】であればあるいは、と思えてしまいます》

「だよなぁ。魔物を召喚して、バトルするのはいいかもしれないけど……うん、人を召喚するのは止めておこう」

 いちおう、説明書きに複製した別人とは記されているけども。
 ……それはそれで、一時的に彼らが世界に二人居ることになりそうで怖いな。

 ついでに言うと、召喚した存在に過剰な接触はできない仕様らしい。
 まあ、そういう使い方を企てる者も居るかもしれないからな。

 もちろん、俺の持っているカードの人物たちに手を出そうものなら、容赦なく返り討ちに遭い、逆に酷い目に遭うことは確定なんだけども。

「なるほど、カード化していなくとも、舞台に入ったモノを自動でカードとして情報化してくれるのか。この仕組みなら、うちの魔物たちも自由に参加できそうだな」

 なぜかうちの魔物たちも、イベント中に一枚もカードが出ていなかった。
 強過ぎるからか、あるいはアイスプルをイベントに混ぜてくれていなかったからか。

 どちらにせよ、結果として俺は例の二人をメインにしたデッキを使っていたんだよな。
 もしも、次があるのであれば……同じ選択肢は取らないことにしよう。

「カードとして参加するモードと、擬似的にEHOに出現する存在として召喚して戦わせるモードもあるのか……うん、今度やってみようか」

 これって、もしかしたら先のコラボの予告なのかもしれない。
 そんなことを思いながら、交換を終えるのだった。

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