上 下
1,936 / 2,752
DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント後篇 その15

しおりを挟む


 様々な思惑もあり、集団でのイベント参加に挑戦することになった。
 事前に[掲示板]で募集を行い、参加したいという投稿も確認している。

 まあ、俺……というか:DIY:による支援があるので、彼らがアイテムに困ることは無いだろうな。

「──時間です、それでは各自[レイド]の登録をお願いします」

『…………』

 集まった休人たちに対し、俺はただ必要事項のみを告げる。
 彼らも無言でそれに従い、即席かつ簡易的なレイドチームが編成された。

「興味は無いかもしれませんが、いちおうの挨拶を。主催者です、募集要項に記した通り皆さんの事情や情報などを詮索はしません。イベントやポイントのため、行動を以ってやる気を見せてください」

『…………』 

「では、これから事前にお約束した通りアイテムの配布を行います。イベント期間中しか情報通りの性能を発揮することができませんので使い切っていただいた方が良いです。必要であれば作りますので、連絡ください」

『……ッ!?』

 受け取ったポーションやその他魔法薬を確認した休人たちが、いっせいに驚いた。
 まあ、中毒無しで身力を全種類回復できるなんて物は、世に出回っていないからな。

 しかもそれが全部無償提供。
 完全にこちらにメリットが無いような話だろうが、まあそれを受け取る側も多少は訝しむのだろうか。

 だからこそ、少々意地の悪い条件が設けられている。
 面倒だからこそ、相応の対価が用意されている……そう認識させるのが一番だしな。

「質問はありませんね……では、さっそく始めましょうか。まずはどちらへ向かうか、投票を願いします。皆さん、[掲示板]から投票してください」

 これもまた、事前に募集する際に決めておいた取り決めの一つ。
 選択する際は[掲示板]に設けた専用のスレで、投票を行うこと。

 最終的な決定権は俺にあるのだが、それでもある程度投票を尊重するつもりだ。
 今回もまた、投票結果に従い向かうタイトルを決めるのだった。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 少女たちが歌を歌い、それを休人たちで守る──選ばれたのはアイラブだ。
 最終イベントにおいて、俺たちはただ守るだけでなく積極的に攻める必要がある。

「──ポーション完成、続いてサイリウム塗料も五人分できた。全員、どんどん使ってください!」

『……』

 俺の言葉を聞き、近くに居た休人がそれを受け取り前線へ持っていってくれる。
 ドローンでの配布でも良かったが、ちょうど運搬系の職業に就いている人が居たのだ。

 その彼(女?)に任せ、俺はひたすら生産に打ち込んでいる。
 なお、護衛などは誰もしないし、アイテムの行先なども特段決めていない。

 前線にアイテムが届くと、軽く奪い合いになりつつもそれらを消費していく。
 武器にサイリウムの光が灯り、傷ついた体はポーションが一瞬で治す。

 こうして、レイドボスに挑んでいく休人の姿を俺はただ見ているだけでいい。
 ……生産は半自動なので、本当に楽なお仕事である。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

処理中です...