虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント後篇 その05

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 草むしり、そして住民たちへのお裾分けを行ったイセ村二日目。
 家具の配置などを改めて行った後、とりあえず村から退場した。

「そして、再び『カードバトラー』っと。今回はEHO版に挑戦だ……怖いもの見たさではあるけど」

 EHO版のカードは、すべてその休人が関りを持った存在から選出される。
 能力や数値などはマザーAIが決めたもので、外部からの干渉などは無い。

 ……強い存在は強いまま、つまりはEHOの中でどれだけの活動をしてきたかが分かるわけだ。

「トレード機能もあるらしいけど、説明の欄に小さく書かれていたんだよな……注意事項として、一部はトレードできないって」

 そうこう言いつつも『カードバトラー』のタイトル画面を押し、EHO版を選択。
 すると、初回ログインの特典としてカードパック(十五枚入り)が与えられる。

 中身は当然、俺がEHOの中で出会ったことのあるナニカに関するカード。
 それは人物や魔物だけじゃなく、フィールドやアイテムからも選出される。

「さて、鬼が出るか邪が…………」

 全部言い切りたかったのだが、残念ながらそれはできなかった。
 パックを破り、確認した一枚目──それでこのゲームのすべてが決まっていたから。

「『騎士王』、このカードが場に登場したとき山札・手札・破棄札の中から【円卓騎士】の職業を持つ者を一枚ノーコストで特殊召喚することができる。攻撃時、防御不可。このカードは望まない効果を受け付けない」

 そして最後に、トレード不可と書かれた色鮮やかに輝くカード。
 間違いなく超激レアで、現実世界ならば喜べるのだが…………心が重い。

 そのままカードをズラして二枚目、三枚目と見ていくが……全部が【円卓騎士】の皆様のカードだ。

 おかしいな、俺は【円卓騎士】パックを開けた覚えは無いのだが……そう考えた俺が見た残された二枚。

「……『騎士の円卓』、手札を捨てた枚数だけドロー。その際、属性『騎士』を持つカードがあれば一枚ノーコストで特殊召喚することができる」

 どうせ、捨てても『騎士王』が来ればまた呼び戻せる……そう言わんばかりの効果だ。
 そして二枚目、『騎士王』を除きもっともチートな気がするカード。

「『星鑓[ロンゴミニアト]』、場に十二枚以上の【円卓騎士】及び『騎士王』が居る時使用可能。攻撃力……∞」

 うん、何だろうかこの武器…………見覚えがあるというか、間違いなく俺が創ったモノのはず──こんなチートな機能は、付いていなかったと思うんだがな。

 ゲームはプレイする前から始まっている、そう言うのであれば俺はほぼ間違いなく必勝の存在だろう……これ、相当対策しないと勝てないはずだし。

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