1,916 / 2,832
DIY、シンコウに備える
第一回コラボイベント前篇 その15
しおりを挟むイセ村の世界を満喫している俺。
役場で手続きをし、住まいを得ることに。
途中、この世界の魔法システムの話をしながら、あるキャラの話をした。
そのキャラこそが、プレイヤーが考えるシめたいキャラNo.1。
ぼったくり、増築魔、そもそも選択権ぐらいこっちに寄越せよ、などと言われている。
「──初めましてぞなもしね。ぼくの名前は『もし吉』ぞなもし」
「初めまして、ツクルです」
もし吉、見た目はタヌキをデフォルメしたような魔物だ。
見た目だけはとても可愛らしく、グッズは売れているんだよなぁ。
「うんうん、新しい住民は大歓迎ぞなもし。はい、これが君の家の鍵ぞなもし。受け取ってほしいぞなもし」
「…………」
「ん? どうかしたぞなもし?」
「あの、家を自作ってできますか?」
「…………少し、詳しく聞くぞなもし」
本来、イセ森シリーズに家を一から作るようなシステムは存在しない。
だがこのコラボは、ある程度自由性があることを確認している。
アイテムの持ち込みはできていないが、俺の場合はそれも不要だろう。
また、イセ村には木材というアイテムも存在しているので……不可能ではない。
「──と、言ったわけでして。土地だけ、お借りするわけにはいきませんか? もちろんですが、滞在期間を過ぎた後の家の権利は、すべてそちらにお譲りします」
「……ふぅ、仕方ないぞなもしねぇ。分かったぞなもし、ちょっと待っているぞなもし」
「ありがとうございいます」
最後の言葉に軽く反応していたので、かなり好意的に受け取ってもらえたことだろう。
役場でこの村の地図を見たが、土地は空いていたのでできなくは無いはずだ。
しばらくして戻ってきたもし吉も、了承だと言ってきた。
……役場とのマージン料などと言う辺り、さすがはもし吉だと思ったよ。
◆ □ ◆ □ ◆
「──よし、完成っと」
《お疲れ様です》
「いやいや、『SEBAS』には及ばない。このコラボ最大の難関を、始まる前からクリアしてくれていたんだからな」
指定された土地に、:DIY:と生産魔法クリエイトを交えて建てた家。
それは本来、多大なローンを支払って完成させる七部屋地下付きの豪華な家だった。
これを手に入れるため、どれだけ金策をしたことか……過去を懐かしみ、今とのギャップに少々涙がほろり。
さて、『SEBAS』と話している通り、本来ならばこの家問題以上に、コラボだからこその問題があった。
それは、この世界の言語問題。
イセ村の住民は魔物、ゲームでも人族とは異なる言語を話しており、俺たちは内容を自動翻訳された文面でしか理解できなかった。
だがコラボし、その辺もリアルになったため翻訳は必須。
──そこで『SEBAS』は、過去の作品の音声データから翻訳を進めてくれた。
結果として、俺は最初から言葉を話せる状態になっていた。
……役場で驚かれたもん、人族で話せるのはとても珍しいってさ。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

異世界召喚に巻き込まれた一般人、馬鹿にされたので勇者より先に悪者を倒します
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、トラックの衝突事故に巻き込まれそうになる。すると偶然にも傍に居た四人の高校生の足元に「魔法陣」が誕生し、彼等と一緒に謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには五人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。話を聞くと現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「四人」のはずであり、召喚された状況から考えてレアは召喚に巻き込まれただけの一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追放された後にレアは勇者にも匹敵する能力があると発覚し、彼は異世界を自由気ままに暮らすことに決めた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる