虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント前篇 その14

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 三つ目のタイトル『のんびり異世界の村』とのコラボステージを始めた俺。
 ゲームに毎回出演する、定番キャラとのやり取りをして思わずほっこり。

「──じゃア、まずは役場に行くんだナ。家について話してくれるからナ」

「はい、ありがとうございます」

 マシヘイは指をぐっと伸ばしてサムシングポーズを取ると、馬車を再びどこかへと向けて動かしていった。

 ……アレ、ゲームの時にいつも思ったが、どこへ向かっているのだろう。
 村は基本陸の孤島、出口は無いはずなんだが……まあ、ドローンで確認しておくか。

「けど、凄いな……昔、本当にやっていた世界観そのものだ」

 暖かな空気、踏みしめる緑の地面。
 遠くに見える、住民である魔物たち……ここもまた、『理』は違えど魔物たちの楽園というわけか。

「さて、ここからは飛ばしていくぞ。ゲームでもよくやった、チュートリアルRTAだ」

《畏まりました。地形はすでに把握しております、最適ルートを表示します》

「走るとスタミナが……って、ここはEHOで判定されるのか。仕方ない、歩くか」

 イセ村では走る機能には制限があり、毒を盛る生物に追われる事態に対処している。
 当然、失敗すれば(全年齢向けなのでそれに適した形で)ダメージを負ってしまう。

 そんな部分まで再現された結果、虚弱な俺は一歩も走れない仕様と化していた。
 この辺は、能力値を参照としてやっているわけだな。

「他にはどの辺が、EHOのシステムから反映されているんだろうか」

《おそらく、魔法のランクではないでしょうか? 能力値、そしてスキルレベル辺りが基になっているかと》

 便利なこの世界の魔法、ただし一定のランクが存在している。
 得るための条件はさまざまだが、基本的には初期から使えるものは無い。

 だが、休人たちはEHOでの努力の分だけ進んだ状態で始められるわけだな。
 ……俺もそれなりにやっているはずだが、全然使えないけども。

 ちなみに、初期の魔法ならお店で魔法書を買えば多分使えると思う。
 あくまでも、手に入れるのが難しいのは高位の魔法だけだからな。

「よし、着いた。役場で家の場所を聞いて、鍵を貰って……そうしたらあのキャラとご対面なわけか」

《どのような方なのでしょうか?》

「まあ、金を要求してくるな。ついでに、村の発展の分も。家は勝手に改築してくれるけど、代金はほとんどこっち持ち……頼んでからやってくれって話だよ」

 まあ、すべてゲームだからと考えていたけれども、VRMMOとして行動が自由な今ならば、言い返すことはできるだろうか。

 ──そんなことを考えつつも、俺は役場での続きを始めるのだった。

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