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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント前篇 その12

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 最終フェイズのボスも、妖刀(仮)を用いて討伐した……『SEBAS』が。
 俺は体を明け渡したのみで、特段何かをしたわけじゃないからな。

 なお、まだ討伐の報告が無かったのでおそらくは俺が初。
 先駆者たちは倒すよりも、まずはアイドルたちの応援に集中したらしいし。

「記録水晶か……なるほど、こっちの世界であの曲が何度でも楽しめると」

《戦闘に集中していた者に対する、配慮ということかもしれません》

「譲渡不可、加工不可、しかもドロップも一回限りときた……なるほど、ここまで露骨だとそうなるか」

 何をしたかというと、[掲示板]に匿名でアイテムの情報を流した。
 EHOで『アイドル・ラブ・ユー』の曲が何度でも聞けるアイテム、その情報だ。

 当然、ファンたちは大盛り上がり。
 付随して送ったボスの情報を基に、攻略を試みていることだろう。

「それに、全曲攻略記念のアイテムも手に入るわけだし……ファンの狙いはこっちが主だろうけど」

 すでに『SEBAS』によって、その偉業は成されている。
 曲は全部で六曲+一曲、六曲終えた後に隠されたもう一曲が存在していたのだ。

 そうして七曲のイメージを髣髴とさせる精霊型のボスを倒したところ、追加でアイテムが配布された──こちらも[掲示板]に出したところ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

「まっ、推しとのスペシャルライブなんて夢のような時間だよな」

《旦那様は──》

「居ない、居ないからな。強いて言うなら、俺は全員で歌っている方がいい……いわゆる箱推しだ」

《……そうですか》

 何やら勘めいたものが全力で否定するよう告げたので、それに従い即答する。
 おかしいな、『アイドル・ラブ・ユー』はルリも好きな作品のはずなんだがな。

 先着、そして以降は抽選で手に入る特別なアイテム。
 七曲のPVを作る際、EHOのアバターがそのPVに映る権利だった。

 もちろんちょい役だし、ただペンライトを持つだけの可能性だって高い。
 だが、歌って踊る姿を非獲得者より多く見れるという名誉が手に入る。

「さて、それじゃあ行きますか」

《旦那様、次はどちらへ?》

「少し考えてだな……まあ、とりあえずタイトル画面を見てからにしよう」

 現在、盛り上がっているのは『アイドル・ラブ・ユー』の辺りだ。
 先ほども語った通り、ファンたちがあの手この手で攻略を目指しているからな。

「言い方はアレだが、今はそこまで人の居ない場所に行ってみるか──そうだな、ここがそれっぽいか」

 タイトル名は『のんびり異世界の村』。
 通称は『イセ村』というソシャゲだが……スローライフなので、あんまり求められていなかったのかもな。

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