虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント前篇 その05

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 早くも、『モンスター&パズル』コラボステージも最終エリア。
 強力なボス『零哭獣ビーストノート』を倒すべく、ジェムの加工を行っている。

「作れるアイテムは、作中でモンスターたちが使っている武器のデザイン。使用するジェムの数が多ければ多いほど、最終的にモンスターに与えるダメージも増える」

 最終的に、とは要するに普段使いがほとんどできないものだからだ。
 なんせ、装備性能としてはたった1……スキルとしてモンスター特攻が備わっている。

 なのでどれだけ強そうな武器でも、結局は飾りとしてしか使えなくなるのだが。
 まあ、EHOは見た目だけのアイテムを実用品に重ねられるので困らないだろう。

「:DIY:でいろいろやった結果、はい完成──『獣星砲ビースター』!」

 それは両手で持つようなゴツい拳銃。
 デザイン的には、今まさに敵対しているボスモンスターと同じ感じのモノ。

 それもそのはず、ゲームにおいてビーストノートから手に入れられる物だからだ。
 そんな武器を作り上げ、同じくジェムを加工して作った弾丸を装填していく。

『──そ、それは、ビースター!? す、凄い……よし、ぼくが引き付けている間に、それを撃って!』

「ええ、行きますよ──『SEBAS』、補助を頼む」

《畏まりました、射撃補助プログラムを投影します》

 視界に出現したホログラムに従い、命中するように銃を動かす。
 ある意味イベント戦なので、当たりさえすれば攻撃判定となるぞ。

 銃を構え、ジェム弾を発射。
 スキルを持っておらずとも、弾は真っすぐ飛んでビーストノートの下へ。

 最期に咆哮を上げ、ビーストノートは粒子と化して消えていく。
 すると、周囲の景色が一変し、辺りは虹の橋が架かる蒼天となる。

『──ありがとう、君のお陰でモンスターたちはぼくらの世界に戻ったみたいだ。これはそのお礼……気に入ってくれると嬉しいな』

 卵型のアイテムを受け取ると、エッくんもまたこの場から消える。
 残されたのは俺と卵、そして元の世界に戻るための扉だ。

《卵の中身はランダム、そしてクリアしたステージが多いほどレアなアイテムが出現します。一部のアイテムは、最終ステージまでクリアしなければ出現しません》

「……クレーム来そうだな」

《ただし、後ほどポイントでの交換は可能ですので。第一ステージを周回し続け、最終的に得ることも可能ではあります》

「まあ、どっちを選ぶかはソイツ次第か。さて、二週目に行きますか」

 扉に触れないでいると、俺の背後に新たな扉が出現する。
 俺はそちらの扉を選び、その先へと向かうのだった。

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