虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、シンコウに備える

第一回コラボイベント前篇 その02

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 EHOとのコラボを果たした五つのゲームタイトル。
 休人はそれらを巡り、コラボアイテムを手に入れるというわけだ。

 俺が最初に選んだのは『モンスター&パズル』という、まんまパズルゲーム。
 普通にプレイするだけでなく、EHO限定のプレイ方法があるらしいのだが……。

「画面が出てきたな……えっと、どっちでプレイするかの確認だな」

 普段のUIよりも大きな画面を、二分割して選択を求めてくる。
 片方では普段通り、手でパズルを操作して攻撃の火力を決めるもの。

「そして、これがEHO限定のスタイル……なるほど、普段消しているものを自力で集めなければいけないわけだ」

 制限時間を大きく伸ばした状態で始まり、ステージ上に配置された消している物──通称ジェムを回収。

 集めてきた数に応じて、敵に与えられるダメージが増えていく。
 色は属性、そして数は火力を決めるようなので闇雲に集めなくても良い。

「普段のプレイなら、まあその場に居るだけでサクサク済ませられるわけだ。時短というか、周回というか……用意されている報酬で充分なら、そっちでもいいんだよな」

 だが説明的に、おそらくEHO版の方が隠された報酬が多い。
 そして俺は、基本的に出されたイベントアイテムはコンプリートする主義だ。

「──よし、こっち!」

 選んだのはEHO版。
 画面をタップ……というか全身を使い叩いたところ、画面が一つのみになり──そこが扉となった。

「じゃあ、行きますか」

 開かれたその扉を潜ると、そこには果てしない草原が広がっていた。
 どうしたものかと思っていると、空から何かが降ってきた。

『ようこそ、モンスター&パズルへ!』

「おっと……たしかこいつは……」

『ぼくはエッくん! これから君を案内するサポーターさ!』

 そう、卵に包まれた羽の生えた動物。
 このゲームのマスコットキャラクターであるエッくんが、俺の下に舞い降りていた。

 ……なお、通常版をプレイしていた場合でも、エッくんのぬいぐるみは手に入ると入り口で説明書きがあったな。

『──あっ、危ない! あの魔法陣からモンスターが出てくるよ!』

「攻撃しちゃダメなのかな?」

『モンスターたちには特別な力が宿っているから、君たちの攻撃が通じないんだ! そこで、君にはこのジェムを集めてもらうよ!』

 俺との会話が成立しているのかしていないのか、ともあれ話は事前の説明通りに。
 制限時間内に集めたジェムの量で、攻撃の火力が決まりダメージが通る。

 最初は簡単なエリアなので、そこまで集めずとも問題はない。
 ……そして、EHOというか別のゲームだからこそのシステムも。

『君たちの世界から迷い込んできた魔物、彼らにはどうやらジェムと同じ力を感じるんだよね。だからたぶん、倒したらジェムが手に入るかも。それを使えば、攻撃を通せるアイテムが作れるかもしれないね』

 まあ、つまりはそういうことだ。
 戦闘職なら単純に倒してジェムを回収できるし、生産職なら加工したアイテムで強力なダメージを与えられる。

 ジェム探しに時間を取られないよう、用意された配慮なのだろう。
 同様に、回復職にも何らかの援助がされていると思われる。

『それじゃあ、ぼくが時間を稼いでいる間にジェムを集めて来てね!』

 その言葉をトリガーに、頭上に出現したカウントダウン。
 それがかなり長いので、俺はのんびりとイベント攻略の準備を始めるのだった。

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