1,898 / 2,752
DIY、シンコウに備える
妖刀探し 前篇
しおりを挟むアイスプル
妖刀絡みの事件はひとまず幕を閉じた。
迷宮核だった妖刀とそれを求めた九拿、そして『陰陽師』の暗躍など……正直、考えるだけで面倒なので思考は放棄している。
「それよりも……『SEBAS』、アレからどうなっている?」
《すでに迷宮の情報は反映されております。アイスプル内に限り、保存されていた妖刀の情報を再現可能です》
「よし! 今回の目的も、無事達成できたわけだな!」
元は【刀王】たちに依頼されての調査だったが、迷宮ということで企んでいたこと。
それは迷宮核から情報を拝借し、ここでも同じことができるようにするというもの。
そして、苦難困難を乗り越えてどうにか達成した情報の拝借。
権限を行使して生み出した妖刀は、本物と寸分違わぬオーラを放っていた。
「まあ、『(再)』の字は付くみたいだが。別に困るわけじゃないし、兵の強化にでも使わせてもらおう」
《以降、迷宮内の人型魔物たちが一部装備することにします。なお、データの検証も兼ねております》
「検証? まあ、住民に害の無いことなら好きにやってくれ。ついでに、俺が使えるような妖刀が無いかも探してくれると助かる」
《畏まりました》
古今東西の妖刀が揃っているならば、一つぐらいあったかもな。
だが残念なことに、【刀王】が持っていたかなり凄い妖刀は生み出せなかった。
格の問題なのか、それとも情報不足なのかは分からない。
俺との立ち合いでも使っていないので、その方面から再現するのも不可能である。
だが、その代わり一番最初に出会った際などに使っていた[首狩]という妖刀は再現ができた……どうやら俺の記憶もまた、情報を得るために使われているようだ。
「妖刀以外の再現はできないんだよな?」
《はい。あくまでも、妖刀自体が核であること、また妖刀の使用にのみ迷宮を特化させることで成立しておりましたので》
「内部の魔物が弱い代わりに、入場者にレベル制限を掛けていた『幼子の揺籠』と同じようなものか……方向性は全然違うけど」
迷宮核も迷宮核で、それなりに考えて迷宮の構築を行っているわけだ。
……それが生存のためなのか、また何かを求めてなのかは核によって違うけども。
「【妖刀鍛冶師】は生産職だから最初から就けたが、【妖刀士】は就けないんだよな。そのためにも、まずは自分に合った妖刀を見つけないと」
そう、今回の計画はここへ繋がる。
なんだかんだ続いている、新たな職業に就くための条件探し……というか満たし。
妖刀への適性、それもまた就くために必要な条件である。
自前の物は:DIY:やら【生産勇者】の影響か、対象になっていなかったのだ。
なのでそうではない妖刀の中で、自分に合う妖刀を探そうとしていた。
……はてさて、それが本当に存在するのだろうか。
0
お気に入りに追加
645
あなたにおすすめの小説
催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~
山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。
与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。
そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。
「──誰か、養ってくれない?」
この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。
神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる