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DIY、対家族案を練る
妖刀戦争 その05
しおりを挟む妖刀問題の舞台となっている迷宮。
そこに降り立った俺だが……なぜか隣に、式神の少女が並んでいる。
回想……する必要も無い。
なぜなら俺自身、驚いた様子を隠しているだけでまったく知らなかった出来事である。
突如隣に、激しい勢いで死亡レーダーの警鐘を鳴らす存在が現れた。
だが『超越者』との接触経験の多さが、良くも悪くも平然とした対応をさせたのだ。
「…………」
「…………」
無数の刀が突き刺さるフィールドを歩き始めるが、彼女は俺の隣を離れない。
何度か曲がってもそれは変わらなかったので、一度足を止めて彼女の方を見る。
「あの……自己紹介といきませんか?」
「?」
「私は……『生者』、おそらくは貴女の主と同じ逸脱者でしょう。強くもなく、ただ生きしぶといだけですが、どうかよろしくお願いします」
式神であることは、その独特の風貌や放つエネルギーの波動などから『SEBAS』が割り出してくれた。
そして、倭島においてそんな超強力な式神が扱える者など一人しかいない。
……というか彼女、今まで見たどの式神の少女たちより強そうなんだよな。
「よろしければ、貴女のお名前を聞いても構いませんか?」
「……九拿」
「クナ……九拿さん、ですね。ええ、よろしくお願いします」
《旦那様、解析結果が出ました──》
挨拶をしながら行っていた、解析。
通常の鑑定と違い、先ほど読み取った魔力の波動などの情報による推察。
それを『SEBAS』が行うのだ、間違いなどありえない。
そして、その結果──
《──『神子』、それが彼女の種族です》
とんでもない厄ネタを拾ってしまった。
◆ □ ◆ □ ◆
この世界の召喚術において、人族との契約は別にできないわけじゃない。
スキルや職業、装備などで耐性が高いためその手順が面倒なだけだ。
まあ、人族をテイムできない、従魔への補正を行っても対象に含まれないなど、それなりにシステムも判定はしているようだが。
自身の職業の恩恵下に収める、その表現が適した職業のみがそれを可能にする。
知り合いでたとえると【奴隷王】、彼女の奴隷たちは人族だが強化の対象だしな。
どうやら『陰陽師』もまた、そうして人族から式神を作ったらしい。
……事情を知らない以上、深入りをする気は無いな。
「しかし、かなり凄いな」
途中、地面から這い出てきた骸骨たちが、周囲の刀を抜いて攻撃してきた。
すると、彼女もまた適当な刀を拾って骸骨たちと闘い始める。
どうなるものかと思ったのだが……一振りで、決着はついた。
凄まじい衝撃波と共に、彼女の手から刀は崩れ落ち、周囲は爆心地と化したのだ。
神子、神になり得る器たる存在。
ゆえにそのスペックはまさしく人外……やはり、関わると面倒事になるんだよな。
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