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DIY、対家族案を練る
妖刀戦争 その03
しおりを挟む──『夢幻刀』。
レムリア世界とパシフィス世界、双方から必要なモノを取り寄せて作った一振り。
そしてそれを【刀王】が振るったが……藁人形は斬れていなかった。
「……ふむ、面白いな」
「くっ、某も扱うことができれば……」
だが二人はその結果を見ても、俺の刀が鈍らだとは思わない。
振るった当人だけでなく、見ていただけで理解できるのは……さすがと言えよう。
なお、『辻斬』が悔しがっているのは、彼女が他者の妖刀を振るえないため。
あくまでも、彼女は彼女自身が打ち上げた妖刀のみしか制することができないのだ。
なぜなら彼女は【妖刀鍛冶師】、戦闘職では無いからな。
俺のように複数の職業に就く者は少ない、重ねれば重ねるほどデメリットがあるのだ。
閑話休題
それでも、『辻斬』は自らの経験から夢幻刀の性質を見抜いたらしい。
そして、あらゆる刀に精通する【刀王】も同様の見識を持つ。
「──肉体にいっさいの影響を与えず、事象に干渉する刀か……これではたしかに、藁人形は斬れまい」
「だが、戦における働きはかなりのもの。魔の力を切り裂き、人の心を絶つ。不殺を貫くのであれば、最適であろう」
「ふむ……生け捕りはあまりせぬのだが、必要になる時もあるだろう」
「──物に当たっても、斬れないので非常に便利ですよ」
そう言うと、【刀王】は夢幻刀の購入を決断してくれた。
また、『辻斬』もサンプルとして一本買ってくれるらしい。
──ちょっとお高いですけど、その分の価値はあると思いますよ。
◆ □ ◆ □ ◆
話が逸れに逸れまくっていたが、ようやく軌道が修正される。
たしか、業禍物なる優れた妖刀云々で揉め事が起きたらしい。
「業禍物はその存在が確認されなくなると、登録が抹消され新たな妖刀が選定される。だが今回、失われていたはずの業禍物がある場所で大量に発見された」
「迷宮、それも新たに発見された物だ。その妖刀がどういった理由で集まったのか、それは定かではない……しかし、偽物であったとしても、業禍物と同等の力を振るえる品が出てしまえば、倭島は混乱するだろう」
たしかに、迷宮の機能を使えば紛失した妖刀を回収したり、ゼロから過去に存在した妖刀を創造することもできるはずだ。
……しかしそれには、知性を有する迷宮の管理者──【迷宮主】が必要なはず。
ただの迷宮では過去の業禍物を用意するなど、高度な仕掛けはできないはずだから。
新しい迷宮、だが本当に出来たばかりかは不明だ……隠しておけば少し偽装できるし。
確実に、裏で陰謀が行われている……今回もまた、死にまくる騒動だな。
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