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DIY、対家族案を練る
対家族製作 その16
しおりを挟む亀の中に甲羅の上に開いた噴水孔から侵入した俺、荒れ狂う水流を『SEBAS』の指示で掻い潜り……辿り着いた先には──
「こりゃあ、何とも凄いな」
亀の甲羅、その中には文字通りの別世界が広がっていたようだ。
そしてそこには、大量の生体反応が存在しており……それを感じ取っていた。
激流に呑まれていた俺は、先ほどまで掴んでいた“フロートアーム”の手を離し、いったん『プログレス』を解除する。
広がる新たな世界、バシビウスたちに侵略されたパシフィス世界とも違う……ごくありふれた森が広がっている、はずなんだが。
「うーん、見た目的には普通に獣頭種の獣人族みたいなんだが……なんだろう、物凄く見覚えを感じる」
ドローンを飛ばし、カメラの映像を確認しながら呟く。
ただ、気になるのは全員の背が小さく思えること……小人系の種族なのだろうか?
《いえ、おそらくはそうではございません。この世界において、人の在り様としてそれが『否定』された存在が普通なのですから》
「…………もしかして、アレか? 本来の人間ではありえない、漫画サイズみたいな感じの表現みたいな」
デフォルメ、とか二頭身とか八頭身といった風なサイズ感の問題だ。
俺が感じた見覚えも、おそらくはその類なのだろう。
実際の身長と表現されている大きさが違っている、のかもしれない。
ありえない、だがありえる……それがこの世界の理でもあるからな。
「さて、それはともかくとして。そうなると俺の存在は、違和感だらけになってしまう。『SEBAS』、どうにかならないか?」
《でしたら、魔法薬を飲んでみてはいかがでしょうか? すでに生産済みの物が仕舞われておりますよ》
「……ハイな時の産物か。まったく、そのときの俺は何を考えていたのやら」
そう言いながらも[インベントリ]を操作すると、たしかにそれはあった。
名称は『頭身の変薬』、完全に頭身を意識した名前である。
あからさまにこの状況へ適したその謎のアイテムが、数本ストックされていた。
一本で永続的に効果を発揮し、解除するには解除薬か万能薬が必要になる。
「さっそく飲んでみるか──特に、変化は無いみたいだが」
《──いえ、カメラ越しの映像をご覧になってください》
「……俺自身はそれに気づけないと。相手に合わせた頭身になる、みたいな効果か?」
要するに、動きなどに違和感などを覚えずに活動することができるわけだ。
薬も永続的に機能するし、万能薬は本来世界に出回るはずのない希少品。
バレる心配はない、それじゃあさっそく偉い人を探して会いに行こう。
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