上 下
1,844 / 2,721
DIY、対家族案を練る

対家族製作 その12

しおりを挟む


 世界に干渉する穴を塞ぐ、それは本来人の身で行うことのできない神の御業に近い。
 ファンタジーな成分が作用するEHOの世界だからこそ、それが可能となっている。

「それで、『プログレス』以外でならなんとかなるとのことだが……『SEBAS』、俺は具体的に何をすればいいんだ?」

《まず、旦那様にはある[称号]のセットをお願いいたします。それを付けることで、作戦の成功率が向上します》

「ふむふむ、その[称号]とは?」

《──『世界を繋ぐ者』、『理の改変者』、『救星に至る者』、『星の自浄作用』……そして『機虎の主』です》

 最後の[称号]の名前を聞き、何をしたいのかはよく分かった。
 言われた通りの[称号]を探し、『生者』のおまけ能力であるサブセット枠に付ける。

 これらに加え、『生』と『死』が名称に含まれる[称号]は無制限で使用可能。
 その組み合わせ、そして今回一番重要になるのは──

「来い、メカトラ!」

『ガウッ!』

 俺の声に呼応して、[アイテムボックス]から現れた機械仕掛けの虎。
 ただし、その大きさは子供用のぬいぐるみほどで、獰猛さなどはまったく感じない。

「メカトラ、今回呼んだのは他でもない、お前に願いたいことが決まったからだ」

『ガウ?』

「俺の願いは────」

 それは『SEBAS』に言っていない、だが分かってくれているであろうもの。
 こんな状況だからと、それに特化したわけではないが必要な願いを伝える。

 かつてメカドラに誓ったのは力、だが同じことを願おうと問題は解決しない。
 なればこそ、『プログレス』の上位機体である彼に願うものは──

『ガウッ!』

「できるのか?」

『ガウッ、ガウガウ!』

 願いは叶えられた。
 メカトラは光を放ち、己の体を作り変えて新たな姿を創造する。

「──『機鍵[虎星]』……ありがとうな」

『ガウッ!』

「そうだな、お礼は終わらせてから言った方がいいよな──“堅虎封緘”!」

 名前の通り、鍵の姿になっていたメカトラがさらに大きくなる。
 鍵穴など存在しない空間の罅、その大きさに合わせた代物へ。

「重さも感じないし、まさに俺の願いを叶えてくれるわけだな」

 自分で扱えない仕様では、俺にはどうしようもなかったからな。
 自身で重力を操作することで、俺の感じる重みをゼロにしてくれていた。

 そんな虎型の鍵を持ち上げ、空間の罅に勢いよく差し込む。
 少しだけ、抵抗感を途中で覚えたが、それでも強行突破し突っ込んだ。

「差した鍵は──捻る!」

 力強く(本人的に)右に回せば、罅が何やら激しく閃光を放つ。
 だが鍵は異様なほど特別な代物だし、使用者は殺しても生き残るクソスペック。

 抵抗空しく、そのまま鍵は引き抜かれ──罅はゆっくりと消滅していくのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。 そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。 これは足りない罪を償えという意味なのか。 私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。 それでも償いのために生きている。

処理中です...