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DIY、対家族案を練る
対家族製作 その10
しおりを挟む命の反応の消え失せていた世界。
だが彼らは地下、あるいはその下に居る亀の所へ逃げていた可能性が高い。
問題はまだこのパシフィス世界に漂っている黒い霧、そしてその中に潜む寄生生命体バシビウス……彼らを駆除しない限り、民がこの地にも戻ることは無いはずだ。
「これが霧か……アンノウン世界で見た霧には劣るが、かなりの濃度になっているな」
ドローンを媒介に、『SEBAS』が発見した世界の中継点に転位で向かう。
そこには、真っ黒過ぎるほどに禍々しさを放つ穴が宙に浮かんでいた。
かつて一度だけ足を踏み入れた、滅亡世界アンノウン──侵略者の世界が、この滅幻世界パシフィスへ侵攻していたのだ。
バシビウスたちは何かに寄生しない限り、霧の中でしか生存することができない。
だからこそ、霧を根こそぎ回収して寄生する対象を奪えばバシビウスは自滅する。
逆に言えば、濃度が濃ければ霧は世界のどこまでも広がることができるわけで。
生物に寄生できずとも、植物などを媒介にじわじわと世界を蝕んでいるようだ。
「──『インストール:インプット』」
コミを収納していた、生物の格納を可能にした『プログレス』。
非生物の格納も問題なく行えるので、今回はこれを利用する。
ただし、いつものように手に仕込んだ宝石へ落とし込んだその能力を、取り外したあと魔道具に接続した。
「あとはこれを使うだけだな……そう、吸引力の変わらないただ一つの魔道具を!」
元より時空属性を組み込むことで、収納量はほぼ無限だったのだが。
それでも生物が有する魔力への抵抗本能により、収納などはできなかった。
その問題も、『インプット』があっさりと解消している。
本体分の容量しか今までは吸い込めずにいたが、これで生物の吸引量も無限になった。
「『SEBAS』、やってくれ!」
《畏まりました──結界を固定、旦那様の座標に定着させました》
「掃除機の反動が絶対にやばいからな……悪いがバシビウス、今回は丁寧に相手をしている暇なんてないからさっさと終わらせてやるよ──『最大出力』!」
コマンドによって、本来の仕様では制限されていた出力で起動した掃除機。
音は何もない……吸い込み過ぎて、音を生む空気すら一気に取り込んでいるからだ。
霧、そしてその中に潜むバシビウスなどを掃除機が呑み込んでいく。
ただ、大きさだけは普通の掃除機なので、地面に刺さっていた木などは吸い込めない。
結果として、その内部に潜んでいるバシビウスのみを的確に吸い取れる。
……途中、木が木っ端微塵になっているけども、まあ微々たる犠牲ということで。
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